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　　日本の総人口の減少は続く。少子化高齢化が進んでいく先には、2100年には推計総人口・6300万人となりうるというシナリオもある。2024年1月に「人口ビジョン2100－安定的で、成長力のある『8000万人国家』へ－」という提言書が、経済人や研究者で構成される「人口戦略会議」から発表された。

　提言書では、2100年までに総人口・8000万人の水準で安定させ、小さな人口規模でも多様性に富んだ生産力のある社会を構築する。それによって、一人ひとりが豊かで幸福度が世界最高水準である社会を目指す。そのためには、現世代が将来世代に引き継ぐことができ、世代を超えた連帯があるような未来に向けて安定した構造をもつ社会を築く。ということが提言されている。

　総人口8000万人水準で安定的な人口規模となることが目標となっている。このための社会ビジョンとして「共同養育社会」を目指す。「共同養育社会」とは、すべての人が社会保障制度を通じた連帯によって支えられるもの。世代を超えた連帯の維持のためには、子どもを持つ・持たないにかかわらず、高齢者を含めたすべての人によって子育て支援が支えられることが重要。母親一人だけで子育てを担うのではなく、父親・家族そして地域が共同で参加することが重要であり、「共同養育」を基本的な考えとして、社会や地域・国の取り組みがなされることが重要だと提言している。

　総人口8000万人は、世界保健機関（WHO）の2023年版世界保健統計によれば、イラン87,923万人、トルコ84,775万人、ドイツ83,409万人となる。

幸福度が世界一の社会を目指して

　幸福度を統計した「世界幸福度調査2023」では、日本は47位。評価を下げている要因として、「他者への寛容さ：過去1か月間に慈善団体に寄付したことがありますか？」という因子の低さがあげられる。慈善団体への寄付の多寡だけが寛容さの指標ではないわけでないことも考慮されるべきところ。

　また、人口戦略会議提言書では、安定した社会構造のため「強靭化戦略」示し、その中心は「人への投資」の強化を提言している。①人材育成のオープン化、②教育費用の負担軽減、③教育の質的向上、④企業における「人への投資」、⑤子育て世代の「可処分時間」の増大、⑥規制改革、地方分権一人ひとりが活躍する場を広げる。を挙げる。

　さらに、成長力のある社会のためには、一人ひとりが活躍する場を最大限に広げていくこと。その活躍の場は、「ローカルインクルージョン（人口減少が進む地域の持続的な発展を支えること）」。「グローバルチャレンジ（グローバルな場でチャレンジすること）」。であるとしている。

　少子化によって地方が疲弊し、さらに東京一極集中が加速されいくというのが現在の状況であり、そうした傾向はこれからも続いていくだろう。中国の詩人陶淵明（365～427年）に「帰去来辞」という詩がある。「帰去来兮。田園将蕪胡不帰。・・・」とはじまる。都会での生活がいやになり、振り返ってみれば、これまでの暮らしは道に迷っていたようだ。でも、今からでも遅くはない。さあ故郷に帰ろう。　

うむっさん