-
-

USA_NO_KINGS
-
-
-

日本のソフトパワーで海外訪日客の激増
-
ソフト・パワーという言葉は、1990 年に国際政治学者ジョセフ・ナイ教授が初めて用いた概念です。その定義は、「議題を設定し、説得し、魅力を示すという吸引的な方法によって、望ましい結果を得るために、他者に影響を与える能力」・「強制や報酬ではなく、魅力によって望む結果を得る能力」とされます。
最近の報道によれば、ソフト・パワーという概念が生まれたアメリカでは、顕著な衰退が起きているようです。アメリカのソフト・パワーを表現しているのが、「アメリカン・ドリーム」だと思います。その根底に流れるのは、民主的な市民として互いを尊重し、敬意を持って議論ができる幅の広い平等で自由な社会という価値観だと思います。であるのに現アメリカ政権(大統領個人なのか政権という集合体なのか)は、これまでの価値や秩序を大きく転換させようとしてるように思います。
例えば、「法に基づく秩序」という面では、2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件で有罪判決を受け服役中の「MAGA派」の人々を保釈しています。さらに、「大統領令」という「行政命令」によって移民の強制送還といった事態となっています。
また、大学への補助金支給の停止や留学生の排除・学生の信条調査のようなことが行われています。NHK ETV特集『アメリカ地殻変動の深層』という番組では、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が「民主主義に必要なのは、政府に管理されない市民社会の独立した機関です。議論や調査ができ意見の相違を認め、言論の自由が確保されている場です。大学は自治や思考・研究の独立を提供し市民社会の重要な機能を担っています」と語っています。
日本のソフト・パワーの根幹は、「平和主義に根ざした民主的な市民社会」という価値観であると思います。太平洋戦争の惨禍や広島・長崎での原爆被害から「恒久平和」を希求するという価値観が生まれていると思います。
しかしながら、核兵器による恫喝など地政学上の不安定さは増すばかりです。ロシアのウクライナ侵略では、核兵器の使用が示唆されています。東アジア太平洋地域でも安全保障への危機感が増しています。唯一の核被爆国である日本のソフト・パワーは世界の平和を維持していくうえでの大きな力となっていかなければならないと思います。
今夏の参議院選挙では、ある政党の議員から「核武装は安上がり」というような発言がありました。東アジアの地政学上の不安定さによって日本の防衛予算は年々増大し、戦闘機やミサイルなどの正面装備(ハード・パワー)が拡大する傾向に暗い予兆を覚えるという方も多いのではないでしょうか。
だからといって、広島や長崎で筆舌に尽くしがたい惨状から、平和をもとめて立ち上がった人たちの血の滲むようなご尽力を無にするような発言は、絶対に容認することはできません。私たちは、広島平和記念公園の原爆戦没者慰霊碑に刻まれた『安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから』という言葉を心に、「恒久平和」を世界中の人たちに訴え続けていかなければならないのです。それこそが、「世界の真ん中で咲き誇る」ソフト・パワーにほかならないと思うのです。
うむっさん


