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　手のひらに乗る小さなスマホ。今では多機能のモバイル端末として使われている。インターネットでの検索や学習・読書、音楽鑑賞。SNSやアプリを使った学習やゲームなど。多彩な機能を持つ道具であるスマホは、２９年前の１９９２年（ＩＢＭ社）に始まり、日本では１３年前に始まっている。

　スマホの保有状況は高校生で９５．６％（令和2年度東京都調査）。「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書(令和３年３月）」では、2 歳で４３．８％、9 歳で８７．２％がインターネットを利用している。

　『最新研究が示す恐るべき真実。スティーブ・ジョブズはわが子になぜiPadを触らせなかったのか？』という煽情的なキャッチコピーがついている、ベストセラーになっている新書がある。『スマホ脳』（新潮新書）だ。著者は、スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンさん。

　同書の問題提起では、急速なライフスタイルの変化にさらされ、人類が体験したことのない種々のストレスが存在する。スマホを使う生活スタイルでは、睡眠時間が減り、座っている時間が増えた。そうしたことは、「脳」にとっては未知の世界であり、それがどういう結果を引き起こしていくのかというもの。

　私たちの「脳」は便利な道具であるスマホに追いついていない。私たちホモ・サピエンスは、２０万年前の東アフリカに誕生。１万２千年前に永続的な定住を始めた。２００年前の産業革命を経て現代に至る。科学技術は進んだけれど、私たちの「脳」はこの1万年変化していない。つまり、私たちの「脳」は、サバンナで常に絶滅の危機と隣り合わせの過酷な状況を乗り切ることに精一杯の状態のままだということ。私たちの「脳」は、わずか２９年間ではこの『便利な道具』に対応できていないのだ。

　フェイスブックの元経営幹部は、「私たちが作り出したのは、短絡的なドーパミンを原動力にした、永遠に続くフィードバックのループだ。それが既存の社会機能を壊してしまった」さらに、「子どもの脳への影響は神のみぞ知る」だ。と言っている。研究者からは、普通に遊ぶ代わりにタブレット端末やスマホを長時間使っている子どもは、のちのち算数や理論科目を学ぶために必要な運動技能を習得できないと警告されている。身体を動かすことが少なくなった日本の子どもたちの姿が浮かぶ。

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