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トランプ関税の影響
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関税に関するアメリカ大統領令が発令され、日米間の関税措置に関する了解覚書が作成されました。「15%になってホットひと安心」というような雰囲気ですが、合意では、「防衛装備品の毎年数十億ドル分追加購入」や「アメリカ産農産品・製品を年間80億ドル規模での追加購入」することや「アメリカ産コメの輸入を75%増やす」ことなどのほか「日本による5,500億ドル(81兆円)の対米投資」が行われることが合意文書になっています。
81兆円は、融資や出資、保証という形になり、融資は企業に行われ、その企業が投資するということになるので、政府が直接、投資(出資)するという枠組みではないらしいのです。しかし、投資先は最終的にアメリカ大統領が決定する仕組みのようです。利益の配分も米国に偏ります。
そうした仕組みの投資では、まるで『朝貢』みたいですし、『冊封体制』のようです。いやむしろ、“みかじめ料”や“用心棒代”のようにもみえます。日本は大切な同盟国ですよね。なのになんでこうなってしまうでしょうか?
先の参議院選で、“ある政党”が掲げた『日本人ファースト』というキャッチフレーズが議論になっています。この政党は、CNNによれば「MAGA運動に触発された極右ポピュリスト政党」ということです。MAGA(Make America Great Again:アメリカを再び偉大な国にする)は、その運動の一端として移民排斥や留学生の選別などをすすめるなど「自国第一主義」という理念を掲げて運動を進めています。
『日本人ファースト』の「日本人」は具体的には“だれ”を指しているのでしょうか。国籍・市民権・民族・人種など様々な区分で「日本人」を定義しなければ議論が進んでいかないように思います。では、在留外国人が私たちの社会生活に悪い影響を及ぼしているのでしょうか?共生社会を目指すという方向性を否定するということでしょうか?なぜそんな曖昧なキャッチフレーズを掲げる政党が支持されるのでしょう。
参議院選の東京選挙区で668,568票を得て当選した“ある政党”の参議院議員が『核武装が最も安上がりで最も安全を強化する策の1つ』と発言しています。個人的な見解だそうですが。なぜこんな発言をするのでしょうか?1967年の佐藤内閣の国会答弁や衆議院本会議決議で非核三原則『持たず・作らず・持ち込ませず』が基本方針として確立しています。また、日本被団協が、ノーベル平和賞を受賞し日本の反核平和運動が国際的にも評価されています。「核武装」という大量虐殺兵器が「安上がりな安全保障の強化策」であるはずがありません。
たしかに、現下の地政学的情勢は大きな不安要素です。エマニュエル・トッド(歴史人口学者・家族人類学者)は、『「米欧の分裂と日本の選択」文藝春秋(2025年5月号)』で『米国が自国の核を使って日本を守ることは絶対にありえない。核は「持たないか」「自前で持つか」以外に選択肢はないのです』と語っています。日米安保や国際法上で「核のカサ」が成立するのかという議論が必要になります。その際には、非核主義・平和主義を貫き通していくことが求められるのではないでしょうか。
うむっさん