今月のコラム 2015年9月

中沢に梨の道「根郷梨通り」
鎌ケ谷市の南部地域・中沢地区の12軒の梨園が共同で愛称を設定しました。
2015年夏からの出荷・販売に合わせ「地場ブランド」づくりをめざします。
根郷川沿い、鎌スタ、万福寺、根郷貝塚、四中のわきから北初富に抜ける通りです。
7月に6本の道標エンブレムを建てました。
 梨の道「根郷梨通り」です。8月29日に記念のイベントも開かれました。
推進役は梨園の主婦のみなさんの発想が原動力、市の農業振興課が後押し
 
2015年8月29日(土)に開いたお土産付き試食会には「かまたん」も駆けつけ梨を配ってくれました。右の地図は12軒の梨園と位置図です。
●お土産付き試食会を開催し、ご近所と通行人にアピールしました
 8月29日(土)には早速、「私たち、根郷梨通りをつくりました。丹精込めてつくった梨、ぜひ試食しに来てください」と、通りに面したスリーエフ鎌ケ谷中沢店の広場で、それぞれの梨園が持ち寄った朝取りの豊水を来場者にプレゼントしました。
 かまたんも「僕も遊びに行くたん♪」と駆けつけて、中沢の梨を配っていました。試食した来場者は「美味しい、甘いわね」と味わっていました。「中沢の梨ファン」が増えるといいですね。
 この日は「鎌スタ」でも千葉ロッテマリーンズ戦が行われ、鎌ケ谷市および地元協力会である「ファイターズ鎌ケ谷の会」が協力、来場先着1000人に梨と、特製うちわをプレゼント。ここにもかまたんが登場し人気を集めていました。
この日のイベントには「根郷梨通り」を推進した12軒の梨園の主婦らが揃って参加して、来場者に梨を配りました。
●通りを中心に地場ブランド目指す
 市内南部・中沢地区は古くからの梨農家が集まり一大産地となっています。しかし、お隣の市川市、松戸市との接点に当たり、観光客や通り過ぎるドライブ家族等には「鎌ケ谷の梨」なのか「市川の梨」か「松戸の梨」かの区別がつきません。
 そこで梨園の主婦のみなさん、ひらめいたのが「通りに名前を付けて」地場ぐるみをブランド化しようという発想でした。通りに近い12の梨園の主婦らが推進力になって「根郷梨通り」と命名したものです。主婦らの相談に応じて市の農業振興課、県の農業事務所の後押しもあって、鎌ヶ谷市に初めての「梨の道」が出現しました。
6本の道標エンブレムは梨と市のマスコットキャラクターの「かまたん」が6種類デザインされています
●地元の知名度アップへ梨園の主婦が協力 
 
まず地域の知名度を上げ、梨の売り上げにも結び付けようと、費用は出し合って(2万円弱)、梨とかまたんがアレンジされた道標エンブレムが出来上がりました。12軒の梨園のある範囲内に6本建てられています。
 この通りは、プロ野球北海道日本ハムの選手の育成・練習、イースタンリーグの公式戦が行われる「日本ハムファイターズタウン」のスタジアム、古代から遺跡の発掘で知られる万福寺、鎌ケ谷市立第四中学があり、Y字路を左の坂を上がれば名門コースの「鎌ケ谷カントリークラブ」、右へ曲がれば中沢の中心街を経て北初富に至ります。土日祭日にはかなりの交通量です。
 これら通行車や鎌スタに来るファン・観光客に由緒ある地名と梨をあわせ、幅広く知ってもらって、地域の活性化を図ることに「主婦力」を結集して、道標エンブレム設置に至りました。

左から、根郷貝塚の標識、根郷川、万福寺と設置された道標。
●由緒ある小字の地名「根郷」にちなみ命名
 
「根郷(ねごう)」は地誌的に由緒ある地名で、根郷貝塚としても歴史的に貴重な地域です。「根郷」はこの地区の小字(こあざ)名ですが、現在の住居表示では使われていません。根郷川として名前をとどめていますが、「えっ、これが川」と言われる状態です。江戸時代には、この地域には石高の高い農民が多く住んでいたとも言われています。
 万福寺の北側には縄文、古墳、奈良・平安、室町時代に及ぶ住居跡、遺構や遺物などの複合遺跡が発見されています。縄文時代の住居跡には貝塚が残され、埋葬された状態で人骨が発見されています。(この項、郷土資料による)
 近くには古くからの神社も多く、巨木の森もあります。一度訪ねてみてください。鎌スタではプロ野球も見られます。
 この地域の梨農家には培われた独特の文化があって、道祖神、馬頭観音、庚申塔などの路傍の神々には花が飾られ、手入れが行き届いています。梨を買うと必ずオマケも戴けたり、一言二言、交流があります。
 愛称通りが交流通りにもなるといいですね。
「根郷梨通り」の梨畑と直売所です。
●若者の「梨離れ」が気になるという
 「根郷梨通り」に協力している梨園は表示図順に(トップの右写真)、秋元梨園、大野園、三橋園直売所、栗原梨園、三四郎園梨直売所、尾白梨園、高橋園梨直売所、笠川園梨直売所、飯田農園梨直売所、山清園、中安園、中冶園の梨農家の皆さんです。
 中沢地区の近くには北総線・大町駅の串崎新田交差点から松戸の二十世紀ヶ丘に至る464号線が「大町梨街道」として知られていて、観光園、直売所が多く、シーズンの賑わいは相当なもので「梨御殿」と言えそうな立派な屋敷が軒を並べています。
 「名郷梨通り」の中心推進役になった主婦は「この道にも梨御殿」というには大変ですが、そうなるといいと話しています。ただ最近、若い人たちには梨が余り魅力がないらしく、「梨離れ」が気になっているとも話してくれました。
●地域の楽しみが増えそうです。
 市の特産品・梨――春には白い花が市内のいたるところで広がり、花の下で行われている受粉作業は鎌ケ谷市の「5月の風物」になっています。そして収穫期を迎える8月、9月は「観光梨園」として、団体さんのツアーバスが来ることもあります。道路沿いの直売所の店先には宅配便など車が何台も並ぶのを見かけます
 この「名郷梨通り」が梨シーズン以外にも、年間を通してアピールしていく情報発信が今後の課題になるでしょう。Webを活用したFacebookページなど、「名郷梨通り」をタグにした情報発信をしていくこともありですね。
 そうなるとPC、スマホの活用は高校生・大学生の出番になります。父母・祖父母らと梨園経営が親子の共通話題になりますね。まずは12の梨園の活性化が「名郷梨通り」の活性化につながっていくでしょう。また、鎌スタに来るファンと地域振興の双方向を目指すこといいでしょう。
 地域の楽しみが増えそうです。頑張りましょう。
             今月のコラム担当 Y‐Takeuchi