新たな出会い・研鑚・社会貢献の場を求めて

**** 商店街の活性化 ****


 例年なら、最も寒さが厳しい2月も予想外に暖かい毎日が過ぎたようである。3月に入ったら、当然ながら急速に暖かさを増してきた。気象庁も開花予想を前倒しするありさまだっだ。

 北海道オホーツク海の流氷もロシア産の氷が増え、紋別にある流氷研究所も20年にもおよぶ観測活動の店じまいをするとの話しである。これも地球温暖化の影響かと思ったら、何と雪が舞い散る肌寒い真冬に戻ったりした1週間であった。
 月末近くになって、やっと桜の蕾も膨らみはじめ、待望の開花へとこぎつけた。お天道様もまことに気まぐれなものである。今年はあやうく雪見酒になるところだった。開花時期の大幅なずれは、花見を予定する人々にくわえ、開花に合わせて商売の準備をする方々に多額な損害をもたらすことも多い。まことに高望みであるが、春の訪れは確かであってほしいものだ。

 たまたま春らしい陽気の戻ったある日のこと、硬くなった身体をほごそうと市内散策を兼ねて久しぶりのウォーキングに出かけた。冬の間は車に頼りっきりで、せいぜい自転車での外出だったから、あまり力まずに膝の関節や股関節、足首や腰などの状況を確認しながら歩くことにした。歩くことで新しい発見にもめぐり合う。

 なぜか何処もひっそりとした佇まい、それが鎌ケ谷の特徴なのか。街中でよく見かける光景は、定年退職者などの散歩や脳梗塞の後遺症によるものと思われる方々のリハビリの歩行訓練、自転車による主婦の買い物などである。よく言えば静かな落ち着いた街である。
 途中で何軒かのスーパーに寄ってみる。以前は土曜や日曜ならレジも結構混雑する情景をみかけたような気がするが、最近はそんなこともあまり見受けられない。どこの店もガラガラでレジのおばさんも暇そうだ。
 変わったことといえば、買い物をする男性の姿が多くなったように思う。私も最近は毎日のように出かける。そんなことで、価格はもちろん鮮度や品質、野菜などの生産地などを見極める能力もついてきたようである。

 日本百貨店協会とチェーンストア協会の発表によれば、百貨店とスーパーの2月の全国売上高はいずれも4か月ぶりに前年実績を上回ったという。春物衣料や食料品が好調で個人消費が回復してきたとの見方もあるらしいが、購買力の元となる所得が増えているわけではない。うるう年によって、営業日数が1日増えたせいだけらしい。1日差し引くと実態は相変わらず前年を下回っている。百貨店は地下食料品街位しか行かないから、その実体はよく分らない。しかし市内のスーパーの状況なら概ねつかめる。

 わが家から自転車で15分以内の地域に、大手のスーパーだけで10指を超える店がある。
販売競争は激しい。当然「安さ」は大きなポイントだが、どの店も価格に大きな差はみられないようである。みな同じような商品構成だし、サービスもそれほど違わない。
 以前は夏場だけ9時まで営業を延長していたスーパーが、大規模小売店舗法の改正された2000年以降は午後11時や午前1時まで営業するところが出てきた。普通の家庭ではもう睡眠の時間帯である。あるとき閉店前の午後8時頃に訪れてみた。お客は殆どいなかった。店員も最低の人数しか配置していないし、レジも一つだけしか開けていない。時間の経過と共に、値下げのシールを貼りなおす係員は忙しそうだった。生鮮食品は、翌日まで残したら一銭にもならない。値札が変わった途端に買い物をするという人がいるけれど...。何しろお客はほんとにまばらだ。こんなことでペイするのかと、考えてしまう。そんなこと、余計なお世話かも知れない。

 それにしても小さなコンビにならいざ知らず、大きな店内一杯に煌々たる明かりをつけ、販売員を張り付け深夜営業を展開する意味はちょっと理解しがたいところである。すでに近辺で24時間営業しているスーパーがある。4月からは新たに大手スーパーが開店し、食品売り場は24時間営業となる。限られたパイをめぐって既存のスーパー各店との激戦が予測される。さらに深刻なのは街中の一般小売店となる筈である。「今の経営者限りで店を閉める」という話も多い。

 そんな折、鎌ケ谷市商工会から市内のお店を紹介する商店街マップが発行された。地域に根を張る飲食店、お菓子、酒・食品などが紹介されている。
 網羅された店の一つひとつに、店の経営者の「顔」が見える。元気なフェイス、親しみのあるお顔、にっこり呼びかける店主の方々..........。これまでになかった地域商店生き残りの戦略である。
 大手企業と同じことをしていては、絶対に勝てないのは昔から商売の基本だ。大手スーパーにはないもの、出来ないことに挑戦していかねば、商店街や個々の商店の発展も生まれない。無から有を生み出すのは至難な技である。代々蓄積されてきた商売の技術やサービスに、新たな発想を加えれば大手との住み分けも不可能とは思えない。宇都宮の餃子も喜多方のラーメンも、讃岐のウドンも一朝一夕にうまれたものではない。地道な努力が今日の繁栄を生んでいる。

 それぞれの店が個性のある店へと、変化を遂げていけば、個性のある生き生きとした商店街への変貌もまた、夢では終わらない。よく、「鎌ケ谷には、梨しか無い」といわれる。そうではない、実際には梨ワインもある。だが、ただそれだけで終わっている。鎌ケ谷以外の人で、どれだけの人たちが「鎌ケ谷梨ワイン」を知っているのだろうか。どれだけPRをしてきたのだろうか。高いから売れないのだろうか。たくさん作れば安くなるのだろうか。値段のわりに美味しくないのだろうか。本気に売る努力をしているのだろうか。門外漢の私には分らないことだらけである。

 いつまでたっても「鎌ケ谷は梨だけしか無し」のままで、終わってしまうのか。そのようなことは無い、と私は信じている。商店街の活性化も、このマップの作成は大きな成果ではあるが、発展への第一歩と考えたほうが良さそうである。それぞれの経営者の方々が知恵を結集し、一歩ずつ前進することを期待している。
                                                       (C.W)