ベトナム旅行3日目、ようやく亜熱帯の気候にも慣れてきた。ホテルはハノイ市内の中心部にあるHILTON HANOI OPERAHOTELである。朝起きてホテルの朝食をバイキング方式でとるようになっている。洋食、和食、ベトナム料理、中華といろいろあるが、やはりいつも慣れた洋食にした。パンと副菜、果物のジュースにコーヒーで終える。ホテルの食事で有難いのは焼きたてのパンが食べられる事であろう。

ハノイ ヒルトンホテルのロビー ホテルの朝食 ヒルトンホテルの傍を通勤のバイクが走る
市内中心部で(1) 朝のバイクの通勤ランシュで混雑 横断歩道を渡るのも大変

 折角のハノイ市内に宿泊したのであるから、まずはホテル周辺を散策。午前7時30頃はベトナムでは通勤の時間帯である。市内の至るところ沢山のバイクが道路いっぱいに走ってくる。市内には余り信号が無くて、横断歩道はあるがベトナム市民はどういう具合に渡るのかを見ていると、意外や横断歩道を走ってわたるのではなく、ゆっくりと渡っていく、するとその人物を避ける様にバイクを運転して、衝突しないようにしているのだ。ハノイ市内には緑も多く、歩道に植えられた巨木が心地よい。しかし、並行するのはバイクや車の排気ガスである。中国でもPM2.5の微細粒子が人の健康に影響し、気管支や肺の病気が多いと聞く。ベトナムでの大気汚染もかなりのものである。帰国したからその影響も出た。これは最後に紹介したい。

市内中心部で(2) 市内のビジネス街 ホテル近くのオペラハウス

 朝の街中を二人で散策していると、歩道の真ん中でバトミントンを楽しむ老人たちが見られた。また、朝なので仕事前に屋台や店の前におかれた椅子に座って、簡単な朝食をとる市民が多く見られた。ホテルの周りを散策しているだけでも、結構ハノイ市民の日常生活が垣間見られて面白い。前日、ガイドのゾイさんからホテルロビーに午前9時30分までに、朝食を終えて集合してくださいと言われていたので、少し早めに散策を切り上げてホテルのロビーに戻った。

 今日はハノイ市内観光である。午前中はハノイ市内の@世界遺産タンロン城跡 Aホーチーミン廟 B一柱寺 C文廟等を見学する。
最初は世界遺産タンロン城跡に向かう。この城跡の近くには戦争記念博物館もあって、ベトナム戦争当時の戦闘機が野外に展示されている。

タンロン城跡の入り口

 タンロン城跡に入る前に、入口付近でベトナム女子大生なのか、きれいなアオザイを着た女学生たちがお互いに写真を取り合っていた。市内ではこうしたアオザイを見る機会が少ないので、いいチャンスとばかりにこちらも写真を撮らせてもらった。
 広い芝生の広場の先にあるタンロン城壁の入り口を抜けて、ベトナムの歴史を紹介する博物館を見学した。古代の発掘物などが沢山展示されていたが、近世頃になると遺跡の中にも細かい細工が施された見事な陶器や木製の彫刻など展示がされている。博物館の外の庭には大きな太鼓も展示されており、何かの行事を行う際に使われるのだろう。ベトナムはこんなにも盆栽が盛んだとは思わなかった。日本の盆栽とはかなりイメージが違うが、大きな盆栽が沢山広場に置かれている。

ベトナム大学生のアオザイ タンロン城跡の楼閣 竜の飾りがある階段
イベントに使うのか?大きな太鼓 博物館の前にある見事な盆栽 庭園にも盆栽が沢山

 このタンロン城跡から車で、すぐ近くにベトナム建国の父を祀る「ホーチンミン廟」が建っている。この建物の前は広い道路があって、衛兵がホーチーミン廟を警護している。観光客も大勢来るので、廟近くで撮影しようと建物近くに道路に引いてある黄色い線を少しでも超えると、ピーピーと笛を吹いて、衛兵から外に出る様に警告される。この廟の上部に表示されたHO-CHI-MINHの赤い文字はルビーで作られているそうだ。

ホーチーミン広場(1) ホーチーミン廟 ホーチミン広場(2)政府関係の黄色い建物

 市内でも、この辺りはハノイ政府の関係の建物が多くい。この廟からほど近いところに寺院の一角がある。一柱寺は寺院の建っている池の中に一本の柱の上にお寺があって、これがお寺の名前になっている。お寺の中には観音様が祀られてハノイ市民もよくお参りにくるようだ。
たまたた、このお寺を写真撮影して後で、モニター画面を見てみると画面の真ん中にオレンジ色の丸いオーラの様なものが写っているではないか!幸い旅行途中で事故にあったり、体調が悪くなったりの様な悪い事は起きなかったのでホットしている。このお寺の近くにはホーチーミン博物館もある。

一柱寺(1) 一柱寺(2) ホーチーミン博物館

 午前中3ヶ所を見学するともうお昼近い。次の文廟に向かう前に手洗い休憩も兼ねて、土産物店に立ち寄る。ここは観光客が良く利用するのだろうが、日本人の団体客も結構多かった。土産物店ではいろいろと売り子の女性が近寄ってきて商品をあれこれすすめる。これに付き合っているときりがないので適当に切り上げる。迎えの車が来たので、やっと乗車をして次の文廟に向かう。文廟(ヴァン・ミウ - クォック・トゥー・ザーム)はベトナムで最も古い大学が1070年に建立された。ここも移動時間はそれほどかからなかった。文廟に入る前の庭園はきれいだ。そして入口の門をくぐると大きな池があり、その池を囲むように古い建物が建っている。建物の一部に石碑の様なものが立ち並んでいたが、これは中国の科挙制度の名残か、科挙の試験に合格した人の名前を刻んであった。一番奥の建物には中国風の建物と孔子の霊が祀られている。

文廟に入る石造りの門 緑が目に染みる庭園 文廟に向かう楼閣の門
亀の台座に乗った科挙合格者名簿 文廟の建物 文廟入口の鶴の銅像

 昼食前に、ハノイ市の中心部にあるホアンキエム湖を見学、この場所は大きな湖を囲む様に歩道が整備され多くの市民が憩いの場として利用する。公園内ではこれから結婚式を挙げる新郎新婦の記念写真を撮っていたが、ベトナムではこのように街中で結婚の記念写真を撮る事が多い。
 昔し、中国の明からの侵略を受けたベトナムでは、当時の王・レ・ロイ王は神から授かった宝剣を用いて、見事この明軍を退ける。この王が湖面を遊覧している時に湖の中から巨大な亀が現れ、「自分は神の使いである。ついては、宝剣を神に返していただきたい」と申し出る。レ・ロイ王が宝剣を差し出したところ、大亀はそれを咥えて湖の中へ。この事からこの湖が、ホアンキエム湖、漢字に直すと「還剣湖」と呼ばれるようになった。この湖の近くに白い建物(玉山祠)があり、この中に関羽を祀る武廟もある。そして部屋の中には巨大な亀の剥製が展示されている。ガイドさんの話では現在も湖に巨大な亀が生存してるが、最近は体が弱ってきているとの話も聞いた。

ハノイ市民の憩いの場ホアンキエム湖 ホアンキエム湖の木陰で憩う市民 関羽を祀る武廟

 昼食は、ハノイ市内にある二階建てのバルコニーが素敵なベトナム料理を出す料理店がある。昼食をとるバルコニー席から街中を見ることが出来る。少しリッチな気分でベトナム料理を頂く。グラスワインも少しいただいて満足した。ここでも前日のクルーズでご一緒した日本人のお二人に出会い、話をする中でこの後はカンボジアに向かうとの話だった。日本人観光客もベトナム旅行とカンボジアの世界遺産アンコールワット遺跡を巡るツアーに参加する人も多いようだ。午後は、ハノイ市から車で30分ほどのところにある陶器の村バッチャンと版画の村ドンホー観光に行く。

村で陶器の絵付けをする女性 製造元で売られている陶芸品 村の陶芸品販売店で(運転手のツォンさん)

 バッチャン村は陶器の製造と販売で有名な所。バッチャン村についてガイドさんの案内で、村の一軒の陶器製造をしている家屋を見学、丁度陶器に釉薬をかけているところを見学、その主人からバッチャン焼の製造過程の説明を受けた。そこからほど近い場所にあるバッチャン陶器を製造販売しているお店に案内されて、一通りそのお店の女性店主から説明を受け、有名なバッチャン陶器には偽物が多いので注意した方が良いとの事。偽物と本物の両方展示をし、その違いを説明されてもこちらには余り区別が付かない。家内も店内を見学して金魚の絵付けをした小皿やスプーン等小物と緑のコーヒーカップ2客を購入したが、結構高かった。後で聞くとバッチャンでは高く買わされたみたいだ。

ドンホー版画を彫る青年 ベトナム農村部の伝統を伝える版画 所狭しと並ぶ版画作品

 バッカン村からさらに40分ほど、版画の村ドンホーに向かう。この村の版画はとても繊細で、絵は昔のベトナム農民の生活を表したものが多い。ドンホー版画はテト(旧正月)の縁起物としてドンホー版画を家庭で飾る。建物の一角にある工房を見学させてもらい、その工房で細かい彫刻を施している青年にあった。少しはにかんだ様子だったが、彫刻と版画でする過程を説明してくれた。別棟にある版画の展示販売コーナーで、絵葉書や壁に飾る大き目の版画などいろいろ見せてもらって、その中から、版画の絵柄が面白い絵葉書を複数枚購入をした。

 ようやく午後の観光も終えて、ハノイ市内に向かう。市内近くに来ると通勤帰りのバイクで道路は大混雑。バイクに乗る人もマスクを付けて運転している人が多い。国道もバスや車でいっぱいの中を、バイクが隣の車やバイクに接触することなく器用に運転をしている。帰路の高速道路でバイクの後ろの荷台に檻に入れた犬を見かけた。他国の食文化についてとやかく言うつもりはないが、聞けばこの犬は食用の犬だと言うではないか。文化が違うとはいえ食用の犬を見ると悲しい。最近は食用犬を隣のカンボジヤやタイからも輸入しているそうだ。

 夕方、暗くなってハノイ市内に戻って夕食をとる。店内にはまだ夕食には時間が早かったのか、客は我々二人だけだった。
この日も、食事にグラスワインを添えて、ベトナム創作料理を頂く。日本人には野菜や香草も沢山使われており、お料理とマッチして食べ易い。その内に、夕食をとる団体客も何組か入るようになって、音楽の演奏も始まった。

ハノイ市内の水上人形館 ベトナム伝統文化を紹介する劇団員 プールの中で人形が踊る
ベトナムの歴史を人形で表す フィナーレの劇団員(1) フィナーレの劇団員(2)

 食事も終わって、お腹が満ちたところで今夜はベトナム民族芸能の一つ、水上人形劇を鑑賞した。舞台は観客席の前に大きな水槽(プール並みの大きさ)があって、舞台左側の袖に、伝統芸能を紹介する女性と楽器がおかれ、ベトナムの歴史を人形劇で紹介するものであった。ベトナム語と英語の字幕説明で、水上人形劇が上演された。ベトナムには多くの民族が共存し、その姿や衣装も異なる。こうした違いを人形に移し替えて、人形を操っている。水上舞台にはたくさんの種類の人形を上手に操り、一つの民族の歴史を表現している。フィナーレには、この人形を操っていた劇団員の全員が人形と共にあらわれ、観客に挨拶をして、大きな拍手が出演者に送られた。

 この水上人形劇を催している劇場の前は、帰りの客を待つ観光バスやワゴン車、タクシーなどですごい渋滞である。この場所に迎えの車が来るにも時間がかかり、更にホテルに向かうため動こうとしても渋滞で進まない。ようやく混雑を抜けてホテルに着いた。明日は、ハノイからホーチーミン市に向かう。飛行時間は2時間ほどである。