初夏の欧州旅行(ドイツ編)Part2



 3日目、ドイツ観光の目的の一つ、古城街道の旅を楽しむことが出来た。この古城街道はドイツ西部のマンハイムから国境を越えてチェコのプラハまで延びる街道である。古城街道とロマンチック街道が交差する地点まで移動する。ネッカー河沿いの小さな中世の都市を訪ねるバス旅行であり、河沿いの車窓から大小の古城や城壁が見える。バスが停まった撮影スポットは河をはさんで古城を山の中腹に見る、絵に描いた様な場所だった。

古城街道沿いに見える城 撮影スポットから見るお城 ネッカー河沿いの風景

 ハイデルベルグから約1時間ほど走ったところでバートヴィンプフェンに到着。ここは「皇帝の城」が残る城砦都市である。ドイツの家屋は木組みの家並みが美しく、街の中心にある「青塔」は大きな建物で建造に使う石の色が少し他と比べて白い事から青塔と呼ばれている。他に赤塔もあり同じ街の高台にある。この高台より眼下にネッカー河と街の全景が見渡せる。

木組みの建物 木組みの家並み(1) 木組みの家並み(2)
街の広場 城壁都市内部の青塔 高台より見える街の全景

 さらに古城街道沿いにバスで1時間ほど、塩で栄えた中世の街「シュヴェービッシュ・ハル」に到着。路線バスの駐車場の近くにバスを駐車して、そこからゆるい坂道を登っていく。街道から少し離れただけなのに、そこはもう中世の城壁都市の中である。

水のみ場とさらし台(右側) 街中の教会 中世の風情を残す広場

 城壁の門をくぐると、その中央には広場と大きな教会が立っている。又、広場の一角には、支庁舎が建っている。広場には水のみ場が設けられ、中世の頃には旅人が馬を休ませたり、休息したのであろう。又、この広場の一角に罪人を縛り付ける「さらし台」が残されていた。
 中世の都市を観光する中で感じたのは、ドイツの人々が自分達の歴史遺産である古城や遺跡など大切に保存し、そこに住む人々がこれらの中世の街の景観を保ちながら、生活をしているということは、すばらしい事だと思った。

 昼ごろには、城壁で囲まれた中世の都市「ローテンブルク」に到着した。普通のツアーはこのローテンブルグに立ち寄っても、観光に訪れるだけで城壁内の街に泊まることは少ないそうだ。昼食の後、城砦都市であるローテンブルグの城門を潜って旧市街に入った。城壁の数箇所に城門があって、そこが人や車の通り道となる。
 市内観光で城内にある「聖ヤコブ教会」や「マルクト広場」「市庁舎」などを見学する。城砦都市といってもそれほど広くないので、小1時間ほどあれば街中を観光する事が出来る。

市庁舎と時計台 有名なカラクリ時計 白アスパラとソーセージ


 この街の名物は、「シュネーバル」ボール状のクッキーを揚げて粉砂糖をまぶしたもの。直径10cmほどの大きさのお菓子なので、1ヶ食べれば充分である。市内には「おもちゃ博物館」や「犯罪博物館」がある。また、1年中クリスマス用品や雑貨を販売してる「ケーテ・ウォルハルト」の本店がある。店内には所狭しとクリスマス用品が展示販売されているのには、圧倒される。

 この町では少し自由時間があったので街中を散策する。お土産店をひやかし、ジェラードを食べた。イタリア人が経営する店内で、座る場所が無かったので外国人観光客と相席となったが、相手の観光客から話しかけられ、少し会話を楽しんだ。話しかけてきた相手は、アメリカ人で東海岸から観光に来ていると言う熟年の夫婦であった。
 このように、旅行中に見知らぬ外国の人たちや、地元の人たちに触れ合う事は楽しい思い出となる。言葉の意味は余りわから無くても、何となく通じるものである。ドイツを旅行していて、ドイツ語が分からなくても大抵、英語が通じるのは助かる。我々のような旅行者が話すことはそんなに難しいことを話すわけでもないのであるが、なかなかドイツ語で話しかけるには勇気がいる。ドイツ語はかって学校で学んだことはあっても、すっかり忘れて全く役に立たないのである。

ローテンブルグ城壁の塔 城壁には回廊が設けてある ローテングルグを囲む城壁
聖ヤコブ教会の尖塔 ローテンブルグの街中 街中の撮影ポイント

 今夜宿泊する、ローテンブルクのホテルは城壁のすぐ傍の静かな場所にあった。ドイツの木組みの大きな家屋で、ホテルは家族経営で行っているようだった。ホテルの客室からすぐ傍に、城壁にあがる塔が見える。城壁の内側は回廊になっていて、この中世の城砦都市の周りを一巡する回廊が残されている。

 4日目、城塞都市ローテンブルグから、バスでロマンチック街道を南下して、シュバンガウへ向かう。このロマンチック街道や古城街道には街道名を表記した道路標識が街道沿いに見られる。ガイドさんの説明によればロマンチック街道なる名前の由来は、どうも日本人観光客が街道沿いの風景から名付けたらしいとの事であった。ひたすらこの日はバスに揺られて3時間半ほど。ようやく牧草地の真ん中に立つ「ヴィース教会」に到着、ここは世界遺産に指定されているドイツ・ロココ様式の教会である。バスの駐車場から小高い丘に歩いて4~5分ほど。それほど大きな教会ではないが中に入ると、祭壇の置くには「鞭打たれるキリスト像」が有り、室内と天井にはキリストに関する壁画、天使の絵などがびっしりと描がかれ圧巻である。丁度、この教会に入った時は礼拝の最中で、普通は観光客は入れないのであるがこの教会では自由に見学することが出来た。

 再びバスに乗車。ロマンチック街道をシュバンガウに向かう。このロマンティック街道のハイライトとも言える「ノイシュバンシュタイン城」は新白鳥城と言う名の通り白亜の美しい城であり、シルエットの美しさは訪れる者を魅了する。ちなみにアメリカのカルフォルニアにあるディズニーランドのお城はこのノイシュバンシュタイン城を模したとか。

街道沿いに見た城 ノイシュバンシュタイン城(1) ノイシュバンシュタイン城(2)
ノイシュバンシュタイン城(3) 城内の正面入り口 ノイシュバンシュタイン城(4)
マリエン橋 マリエン橋から眼下に見える城 ホーエンシュヴァンガウ城

ノイシュバンシュタイン城を撮影したムービー(ここをクリック:Windows Mediaplayerが必要です)

 ノイシュバンシュタイン城を見下ろす観光スポット、つり橋の「マリエン橋」から見るノイバンシュタイン城(白鳥城)は、背景の森や湖が一層この城を引き立たせている。このお城の観光ツアーは人気があって入場するにもかなりの時間待ちがある。城内に入るとイヤーホンが貸し出され、各国の言葉で城内の観光ガイドが行われるので便利だ。このお城の見所は何といっても5階「歌人の間」で室内は圧巻である。このお城の城主であった、ルードヴィヒ2世は政治には興味なく、もっぱら、この城の築城(1868年から)と歌劇「ローエングリーン」の作曲家ワーグナーのパトロンとして国の財政を狂わすほど浪費した。
 その当時はルードヴィヒ2世も愚者の王として酷評されたであろうが、今ではドイツの世界的な観光遺産として、国や地方の観光収入獲得に多大に貢献しているのは何とも皮肉なものである。城内の観光を終えて、城の出口から坂道を徒歩で下って20分弱ほどで麓のレストランの横に出てくる。この道路を挟んだ向かい側に、ルードヴィヒ2世が少年期に過ごしたという「ホーエンシュヴァンガウ城」が見える。ノイシュバンシュタイン城と比較して小ぶりの城で、外壁がベージュ色をした城である。内部の観光も出来る様だ。

 古城観光を堪能して、今夜の宿となるフッセンに向かう。バスはお城の上から見えた湖水の傍を走って、約40分程で湖水の傍のホテルに着いた。このホテルはスイスの山荘のような木組みの建物である。ホテルの前には湖が広がり、湖水の周りをなだらかな山々が取り囲み、まるで風景画のような景観を見ることが出来る。出発前にホテルの前の、湖畔沿いの小道を散策して朝の景色をカメラに収めた。

湖畔の風景(1) 絵のような湖畔の風景 宿泊したホテル


(投稿:TOMY)