平成28年 新春を迎えて



   
    

   新春を寿ぎお喜び申し上げます
   旧年中は当NPO法人活動につきましてご支援ご協力を頂き誠に有難うございました。
    本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。



 
 さて、当NPO法人の平成27年度活動ですが、皆さんのご支援のおかげで当初の事業計画も順調に推移して、残り3ヶ月余りとなりました。
 1月24日(日)~30日(土)迄は、きらり市民会館にてミニ写真展を開催します。これは昨年実施したデジタル1眼レフカメラ講座受講者による、野外撮影会(江戸時代の蔵や古民家が残る流山市内での撮影)を実施したものです。
2月5日(金)に実施する「おもてなし料理教室」、 3月14日(月)から全6回開催予定の「シニアライフを楽しむ集い」、3月中に実施予定の「初級パソコン講座(後期編)」全6回を予定しております。
 また、昨年4月より始めました「子どもロボット工作教室」も年末までに、アドバンスⅣまで終了して、残りは障害物を回避しながら走行するロボットへの改造を行い、アドバンスⅤコースを3月末までに終了する予定です。

 また、当NPO法人は平成15年6月設立以来初めて、NPO活動の範囲を、従来のまちづくりの推進の他に①保険、医療または福祉の増進を図る活動=高齢者支援 ②子どもの健全育成を図る活動=子ども達の教育育成 を新たに加え、NPO活動の範囲を広げる事が出来る様に定款変更の決議を、昨年10月17日(土)に臨時総会を開催して、正会員全員の賛成を得て承認可決されました。現在は千葉県庁に定款変更認証申請書を提出済みですが、審査期間が3ヶ月ほどかかる為、年度末までには定款変更の認証がなされるものと思います。

 これにより、平成28年度の当NPO法人活動範囲も広がり、鎌ケ谷市内の市民の方々にお役に立つ、生活情報の提供や従来の各種文化講座に加え、高齢者向けイベントや子供の理科教育支援など各種サービスも提供できるようになります。

 鎌ケ谷市内でも少子高齢化が進む中、こうした社会問題をすべて行政任せにするのではなく、自分たちで出来る事は自ら手掛けたいと思って、当NPO法人では取り組んでいます。60歳以上の社会経験豊かな市民の方たちも、今まで会社や社会で身に付けた各種技能や体験を、今度は地元のために役立てるため、まずは小さなことでも自分で出来る事から始めてみませんか?そのため、最初から1人で行動するのは難しいとお思いの方でも、当NPO法人や市の学習センターなどに登録された多くの団体・サークルに参加されて、リタイヤー後も、いつまでも元気で若々しく活動される機会を作られる事をお勧め致します。



 昨年末、平成27年の漢字一文字として「安」が選ばれました。この「安」にはいろんな思いが込められていると思います。この「安」の字を書かれた、清水寺の森住職は、「安という字は、家の中で女性がくつろぐということからできている字です。しかし、今回『安』が選ばれたのは、『不安』の安ではないかと思いますと話されました。

 まず「安」の一番目は、国論を分けた「安全保障関連法案の改定」でしょう。昨年はお隣の大国、中国が大船団で小笠原周辺でサンゴの採集のため押し寄せ、また尖閣列島では中国の海洋監視船や漁船が、意図的に日本の領海を侵犯するなど。さらには南沙諸島にサンゴ礁を埋め立て、人工の島を構築し自国領土と宣言し、周辺諸国と緊張をもたらしています。
 この様な我が国を取り巻く地政学的リスクから政府は安保法案改正に向かいました。しかし国民の多くがこの法律改正により隣国との緊張状態が高まり、紛争に巻き込まれ、多くの犠牲者を出すのではないかと危惧して、連日国会周辺で反対のデモが続きました。結局9月には、この法案を安倍政権は国会で多数決で可決し、更に日米の防衛面での連携も強化されつつあります。
 
 「安」の二番目は、昨年の世界で大きな問題となっているのは、中東におけるISの勢力拡大によりシリアとイラクはもとより、世界各地でテロ活動が起きています。
 当事国のシリア政府は反対勢力やISなどとの戦闘に明け暮れ、守るべき反対派の自国民を攻撃し多数の死傷者を出し、それに大国(ロシア、アメリカ、フランス、イギリスなど)が関与して、紛争解決を更に複雑・困難にしています。戦闘を逃れて、200万人規模の難民がヨーロッパを目指し、当初は欧州でもシリアやアフガン、アフリカなどの難民を人道的立場から受け入れを行ってきましたが、ここにきてさすがに急増する難民への自国民からの不安が沸き上がり、難民受け入れに積極的に対応していたドイツでさえ、急速に受け入れ難民数の制限を取り始めています。

 人類にとって大変不幸なシリア内戦により多数の難民が周辺諸国や欧州に逃れ、またシリアとイラクにまたがる広域でISの地域住民を人質とした恐怖支配が続き、ここにきて国連の決議でIS壊滅の方針が決まりましたが、一方ではそのISの過激思想に同調した世界のテロ組織やローンウルフと呼ばれる個人や少人数グループよるテロ活動が先進国でも止まりません。IS組織を壊滅させるために、その根本原因(貧困・差別・不満・絶望・過激思想など)を突き止め、世界中で対策を講じなければ問題解決には至らないと思います。

 「安」三番目は、日本をはじめ、世界中で起きている大規模な異常気象でしょう。エルニーニョで日本の温暖化が進み、大型台風が列島を襲いました。また米国でもハリケーンや西海岸では乾燥による大規模森林火災、豪雨、水害、と全米各地で異常気象による被害が広がっています。中国では急速な工業化に伴う北京周辺でのPM2.5の大気汚染が常態化して国民の健康被害も心配されています。こうした中、今月フランスで開催されたCOP21の合意文書では、世界全体の排出削減目標について、「50年までに10年比で40〜70%削減」「今世紀中の脱炭素化」などの選択肢を示し、最長で「今世紀末」を見据えた対策を求めている。参加196ヶ国の賛同を得て地球温暖化防止に係る、新しい温暖化防止の数値目標が、産業革命前からの気温上昇を2℃以下か1.5℃未満に抑えると決まりました。また、21世紀末には人為的な温暖化ガス排出と、海や森林によるガスの吸収を均衡させる「実質ゼロ」にするという目標も決まりました。

日本も2011年の東日本大震災によって起きた福島原発事故の影響で、一時的には原子力発電が、厳格な安全審査の為、全て稼働を停止して、ようやく九州電力の原発が一部稼働するに至っていますが、以前の様な全原発の稼働は難しく、その分不足する電力を火力発電依存を高め、これが又地球の温暖化に向かうという矛盾した結果となっています。我が国もCOP21の温暖化防止の数値目標達成に向け、技術革新により大胆な自然エネルギー利用による大規模な電力供給を目指す時に来ているのではないかと思います。

 「安」四番目は、 経済面では昨年の原油の供給過剰による1バレル40$を切る大幅な原油価格は当分続き、世界の資源国は財政面で困難な状況に陥ると共に、資源輸入国にとっては原油安は内需や輸出にも好影響を及ぼすでしょうが、世界全体で見ると原油の需給バランスが崩れれば、国際的な経済の停滞を招き、不況に陥るかもしれません。昨年末のアメリカのFRBの金利引き上げ(0.25%)も、新興国にはお金が回らなくなり資金不足が経済の発展を妨げる様になるかもしれません。

 一方、明るい話題としては、まず第一に昨年のノーベル賞受賞に日本人二名(ノーベル物理学賞の梶田さんとノーベル医学賞の大村さん)が選ばれた事でしょう。昨年に続く日本人受賞者が出た事は、今までの基礎科学研究の成果が現れたものだと思います。医学の分野でもiPS細胞を使った難病治療なども、これから多くの医療現場で利用されるようになり多くの患者さんの救済につながるようになると思います。また、日本の得意分野ロボットも、産業分野はもとより高齢化社会の介護分野でも、介護士の重労働を手助けする介護支援ロボットとして、日本のきめ細かい生産技術力で使い勝手の良い、介護支援ロボットがこれから介護現場に広がっていくと思います。欧米ではこうしたロボット先進技術をすぐに戦闘用に利用しようとする傾向がありますが、我が国ではロボットに愛称を付けるくらい工場の現場では人と共存しています。我が国では主に平和目的で、人間の労働負担を軽減する為にロボット開発や応用を考えているのが素晴らしい所だと思います。

 それと、貿易面ではTPP(環太平洋経済連携協定)交渉で、交渉参加に出遅れた我が国も、一番影響力のある米国との交渉もまとまり、関係国(参加12ヶ国)との合意が取れて、現在は関係国内で議会承認を取れば正式にTPP加盟国による巨大市場が創出される事となります。TPP効果で我が国は、輸出増加や企業の国境をまたいだ投資拡大で成長が加速し、国内総生産(GDP)を実質で14兆円弱(3%弱)押し上げる効果を見込むと先日、政府が発表をしました。TPP交渉がまとまる前までには我が国でも、特に農業分野に於いて格安の輸入農産物が大量に国内に入り、既存農業を壊滅に至らせるという様な被害妄想をJAは喧伝し、TPPに強く反対していましたが、結局JAの中央会を政府指導で下部組織への指導力を奪われてしまいました。心配していた日本の農業競争力も、農産物の品質や技術革新により、最近は外国への農産物輸出が伸びて、決して日本の農家は国際競争に弱くはないのだという事がわかってきました。日経記事で、2014年の農林水産物・食品の輸出額が6117億円となり、1955年に統計を取り始めて以来初めて6000億円を突破した。転機は13年に和食が世界無形文化遺産に登録されたことだ。世界的な和食ブームに日銀の金融緩和に伴う円安が重なり、輸出額を押し上げたと報道されています。
このように、世界市場に向けた日本の農林水産物や食品の輸出も、数年以内に1兆円の大台を超える事が出来る様になるのではないでしょうか。



 この1年が皆様にとって輝かしい年となることを願います。
 当NPO法人活動については、本年は地元鎌ケ谷の”まちづくり推進”と定款変更(認証申請中)により新しく追加された「健康・福祉分野」や「子どもの健全育成」にも活動を広げて取り組みを続けてまいります。
 本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます

平成28年1月元旦


特定非営利活動法人 かまがや地域情報の窓  理事長 川俣 蓁