リフォーム体験レポート


レポーター:TOMY

 最近のTV番組などで、よく取り上げられる「劇的リフォーム」など、数多くのリフォーム番組が放送されている。実は我が家も大きな問題を抱えているのです。今回の改修工事をこの「かまがや地域情報の窓」で取り上げ、同じ様な問題に直面し、困っておられる方に少しでも参考にしていただければ幸いかと思い、この「リフォーム体験レポート」を作成しました。

 約15年ほど前に同じ千葉県内から転居をしてこの鎌ケ谷市に引越しをしてきました。丁度その頃は、日本経済のバブルが弾ける1年ほど前に当たる年で新築の住宅を購入するのは大変でした。何とか購入資金を工面して、人生最大の買い物である建売住宅を購入しました。最初は新築であり当然以前に比べて室内も広く、何と言ってもマンションの様に上・下に住む方に気を使って室内で出す生活音を気にする事も無く過ごせるのが大きなメリットでした。その後多少の家屋に付いて問題は起きましたが、それも保障期間中という事で建築会社の修理を受け解決することが出来ました。
 この家に移ってから約10年ほど経過して、少しづつ室内の壁紙のあちこちにひび割れが目立つ様になりました。それでも余り気にする事無く過ごしてきたのですが、特にこの1〜2年1階の出窓の窓が閉まりにくく、また棚面や、リビングの床面が何か変だと感じるようになって、その箇所をパチンコ玉を転がして見るとコロコロと一方向に転がって行くではありませんか!これは、明らかに家が傾いている証拠で、最近千葉県内でも地震が多く感じられる事から不安になって、地元の建築業者さんに無料診断をお願いしました。

 平成17年6月中旬、床面の水平度を測定する水準器と測量器を我が家に持ち込まれ測定していただきました。その結果何と家屋の一方が左右に渡って、沈み込んでいる事が分かりました。右側(リビング側)で-15o、左側(キッチン側)で-5o1階部分が下がっているのです。
 その原因は、盛り土をした土地部分がブロックの外壁で一応囲(隣家の農地と段差あり)んでありますが、基礎工事がシッカリしていないために、年月の経過と共に家屋の重量で土台部分がブロック塀を外側に押し出し、その結果家屋土台の沈み込みが発生したらしいのです。

 建築業者さんの話では、-30o以上沈み込んでいたら身体に異常をハッキリと感じるだろうとの話でした。家屋1階部分の沈み込みが2階部分に影響して、天井、壁面、階段の壁面など何箇所も壁紙の裂け目が発生しています。このまま放置をしておくと元に戻すための工事もさらに大掛かりとなり、修理工事費も多額になるだろうとの診断結果でした。

 この様な、我が家の緊急状態でありましたので、早速見積もりをお願いして@家屋基礎部分の補強工事と家屋の傾き改修工事Aリビング、キッチンの床面張替えと壁紙(天井・壁部分)の張替えをお願いしいました。



 以下、改修工事の進行状況を日記形式で記述して、皆さんにお伝えして行こうと思います。


平成17年6月20日(月):工事着工開始、工事終了予定は6月末ごろ
作業内容:@1階テラス部分の一時撤去作業
A1階リビングの防塵隔壁(ブルーシートを使用)仮設工事 B1階リビング床材の剥離、撤去と根太(床を支える細い角材)の切断・撤去 C油圧ジャック設置工事用スペースの確保作業〔後日、基礎土台部分に補強用杭(パイプ)を6本打ち込みと油圧ジャッキを使用した土台部分の持ち上げ(水平レベルまでに復旧させる)工事〕 時間的には午前中3時間ほどで作業は終了。
 
本日の工事で分かった事。1階リビングの床材を剥がすと、土台の盛り土部が見えた。最近の家屋の基礎工事に見られる全面コンクリートを打ったものでなく、そのまま土の上に基礎となる土台(コンクリートのフーチン)を置いただけのものであった。幸い床下の土は乾燥しており、床下の空気の流れは確保できていたものと思われる。しかし、床下の土の部分にひび割れが生じており、家屋傾きの証拠がこの土台部分の地面の状況から確認ができた。

出窓が2cm程右傾 床板を剥がした土台の土の表面に亀裂 補強をする土台部分

6月21日(火):基礎工事の補強を行うための小型パワーシャベルの搬入
@狭い我が家の庭に、翌日から補強用の杭を打つために穴掘り用小型パワーシャベル機を搬入。

参考:木造家屋の構造図


参考:木造住宅の構造


6月22日(水)〜6月23日(木):雨のため、工事は中止。天候の回復待ち。

6月24日(金)〜25日(土):基礎ジャッキアップ修復工事
基礎ジャッキアップ工事というものを初めて見たが、既に家屋が建てられた基礎部分のコンクリート土台の下を深く掘って、1.5mほど直径300mm程度の鋼管を土の中に油圧ジャッキで圧入するのである。油圧ジャッキは基礎のコンクリート部分に通し穴を開けて、鉄筋を通しその鉄筋に油圧ジャッキをぶら下げる、そしてその下に基礎部分を支える鋼管を油圧ジャッキで圧入し、所定の長さになるまで鋼管を継ないで圧入していく。
そして、家屋の基礎となる土台部分の水平を出した後、固定するために鋼管の中や周りをコンクリートで固めることとなる。(捨て基礎生コンクリート打ち込み工事)


掘削用パワーシャベル 基礎補強用鋼管 手掘りによる作業 鋼管の上にジャッキ設置
地面に打ち込んだ補強用鋼管にコンクリートを流し込む 建物基礎部分を油圧ジャッキで持ち上げ
油圧ジャッキ操作 基礎を支えるジャッキ 鋼管を地面に圧入 圧入が完了した状態
上記*マークの写真をクリックすると拡大写真が表示されます。


6月27日(月):捨て基礎生コンクリート打ち込み工事
基礎部分の土台補強工事として鋼管を打ち込んだ後に、強度を持たせるため生コンクリートを流し込む。コンクリートが固まるのに1日かかる。
次いで、鋼管を打ち込んだ土台の部分を補強するため、鉄筋を組みその上に生コンクリートを流し込む。コンクリートが固まるまで1日ほど放置する。 基礎補強のため、油圧ジャッキで土台を持ち上げた部分は、手動式のジャッキに置き換え、土台の水平を測量し、ジャッキの高さを調整した後は最終的にジャッキも共に全て生コンクリートで周りを固め埋め込んでしまう。(「埋め殺し」工法と職人さんは言っています。)

鋼管の上にジャッキを設置 鋼管周に鉄筋を組む 土台に鉄筋を組む
生コンを流し込む 生コン表面を均す 土台補強工事


6月28日(火)〜29日(水):雨のため工事中止、29日は工務店の方が基礎工事で汚れた室内の清掃と床上の汚れたシートの張替えをするためこられた。明日(30日)には、残りの基礎補強工事で木枠を作って、生コンを鉄筋部分に流し込む予定。何とか明日は梅雨の晴れ間になって欲しい。

6月30日(木):雨のためさらに工事は中止

7月1日(金):何とか午前中、曇り空の中で工事が再開。前回流し込んだ生コンクリートも固まって、今日は残りの基礎土台修正工事と補強コンクリート打ちが行われた。
今日の工事は、基礎土台部分の水平レベルを出すために、油圧ジャッキで調整した後、埋め殺しにするジャッキの高さを調整。
この時点で、家の傾きのひどい左側部と-5mmほど下がっている右側部の水平レベル調整の結果、左側部を当初の-26mmより少し多めに土台を持ち上げたため、右側部分も少し上がり修正工事をする必要が無くなった。午前10時ごろ生コンミキサー車と生コン圧送車が到着して、生コン送出用の太いパイプを残りの基礎土台部と地面の間の空き部分に、実に3立方メーターにも及ぶ生コンクリートを土台部分に流し込んだ。
後は、1日置いてコンクリートが固まるの待って、ようやく床のリフォーム工事に着手する予定。
これだけシッカリ基礎土台部分の工事をすれば、もう家が傾く心配は無いと基礎工事屋の責任者の方が太鼓判を押してくれたので、一安心。

生コン搬入と生コンポンプ送出車 生コンの送出

基礎土台部の木枠 基礎土台のレベル調整 生コン補強する土台
生コンの流し込み 生コンの撹拌均一化 外壁外側まで補強

7月2日(土)〜3日(日):基礎土台部に流し込んだ生コンが固まるのを待つ期間のため、工事は中断。


7月4日(月)〜5日(火):今日は梅雨の晴れ間、基礎土台部の補強用コンクリートも固まったので、木枠の取り外しと外回りの土埋め戻し。
今日から、大工さんが入って基礎土台補強工事前に撤去した家屋の土台木造部の取り付けと、床材を支える根太部分の復元工事を開始。

床の根太部分修復工事 根太部にベニヤ材を打ち付け フローリング用床下の完成


7月6日(水)〜8日(金):前日に続き、大工さんがリビング床材の張替え作業。以前は根太と根太の間に断熱材を埋め込み、その根太の上に直接フローリング材を打ち付けていたため、床の強度が弱く、今回は今までのフローリングの上に新しいフローリングを貼ったため、床板厚は25mm程度厚くなって、強度も増した。フローリングの張替えはリビングとキッチン部分まで張り替えた。
7日〜8日はリビングとキッチンにフローリング材を貼り付け。リビングと面する和室の引き戸を市販の引き戸に交換のため、引き戸高さのサイズ調整及び戸車 の取り付け作業。
以前から問題となっていたリビングで窓部の傾きのため、まどの開閉が固く、網戸も隙間が生じていたため、急遽出窓の傾き補修工事を追加してもらう。設計時の出窓の強度対策が不完全なため、出窓の重みに耐えられず時間の経過と共に出窓全体が傾いてきた。
修復対策工事としては、比較的シンプルで確実な修復工事として、出窓下部に傾きを修復する支えの支柱を2本立て、土台のコンクーリト製基礎石に固定、支柱をモルタル材で補修。
8日の朝から壁紙と天井の張り替えのため、内装工事の方が2名見えた。今日は壁紙と天井紙の剥離にかかった。当日は壁紙の剥離と天井部分の壁紙を新しく張り替えた。

天井壁紙の剥離(1) 天井壁紙の剥離(2) 壁紙の剥離
ジャッキで出窓を持ち上げ 傾斜を修復する支柱 支柱にモルタルセメント塗り


7月9日(土):昨日に続き、内装工事屋さんの壁紙貼り工事が行われた。天井も壁も新しい壁紙に貼り変えられるとすっかり綺麗になった。
リビングのフローリングも新しくなり、天井・壁も新しい壁紙に張り替えられて、新築のリビングが出来たようだ。
残りの作業は、今回のリフォームにあわせてリビングの照明器具も取り替えたので、電気工事屋さんの交換取り付け工事が少し残っている。


天井及び壁紙張替え(1) 天井及び壁紙張替え(2) 見違ほど綺麗になったリビング


7月11日(月)〜13日(水):今週はリフォーム工事の最終段階で、外回りのモルタル塗装やテラスの再取り付け、電気屋さんのコンセントの化粧版交換、内装屋さんの和室の障子及び襖の張替えが完了すれば、この改修工事は全て完了する。
改修工事については、梅雨の晴れ間を狙って工事を開始したつもりであったが、予想が狂い雨によって工事期間がかなり伸びる結果となった。
その間、不便な生活を強いられたが今回の改修工事により、懸案であった家屋の傾き補修工事もかなり大掛かりな基礎補強工事によって、これから家の沈下を心配する事はなくなった。また、あわせてリビングのリフォームも行ったので見違えるように綺麗になった。
リフォームを依頼した工務店さんは、地元の工務店でこれからも何かにつけて、家屋の補修工事もお願いしないこととなるのでやはり信頼できる工務店さんを見つけることが大切である。

基礎土台の補強工事と室内の一部リフォーム工事を含めて、最初に作業内容の明細と項目別費用明細を提出してもらい、費用見積もりをしてもらった。工事期間中には当初予定外の作業をお願いしたりなど、別途費用の発生があったが工事完了に伴なって、当初の見積書と実際の作業内容をつき合わせ、最終的な工事費用の算出確認を工務店さんと施主側で両者で行った。結果的には大きな基礎改修工事にもかかわらず、工務店さんのご協力でリーズナブルな工事代金の範囲で納まったと思っている。

昨今、訪問版日による高齢者を狙った悪質リフォーム業者の被害が全国的に問題となっているが、訪問販売によるセールマンの無料診断など甘い言葉に乗って、不用意に室内に招きいれることは避けた方が安全である。もしそのような欠陥住宅の改修が必要な場合は、地元の市役所や商工会などに問い合わせて、地元で評判の良い工務店などを紹介してもらうのが良いと思われる。見積もり価格については少なくとも複数の業者から合見積もりを取って比較検討することが得策である。

7月13日(水)全てのリフォーム工事完了。これで欠陥住宅のリフォーム体験レポートを終ります。
このレポートが、これからリフォームを考えておられる皆様に少しでもご参考になれば幸いです。