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           **** 自転車の通行ゾーンは作れるか **** 
 
 目に青葉、心も洗われる季節の到来だ。しかし一方では、男心と春の空とも言われる。新緑が清々しい五月晴れと思えば突然、雨雲が広がり稲妻も走る日もあった。東京・府中市では、自転車で帰宅途中の男性の眼鏡に落雷するという珍事も起きた。幸い軽い怪我で済んだようであるが、春の雷様は場所を選ばない気まぐれ者だから、ゆめゆめ油断は禁物である。

 ナントカ還元水の問題は担当大臣が突然姿を消したために、表面的には静かになった。途端に、官製談合に大阪府警の警部補が絡んでいたという事件も発覚した。担当の捜査部門が斡旋していたのでは何事も筒抜けだ。あきれて物もいえない。さらに、いまだに企業の不祥事は続発し、新聞は「お詫びと自主回収」の謝罪広告に溢れている。早め早めの対応が事を小さくさせるのに、依然として隠蔽体質は変わらない。

 天候もよくなると、家の中にいるのは勿体ない。そんなことで颯爽とママチャリに乗り市郊外へと出かけるが、身体が重い上に年も加わったせいか愛車も思うように走らない。当市では、安心して走れるサイクルロードなるものも簡単には見当たらない。それで、歩行者には悪いが歩道を走らせていただく。人が多ければ自転車での外出も容易ではない。自転車はスピードが遅いとふらつく。年寄りには、きわめて危険な乗り物でもある。

 そんな折、5月13日(日)の朝日新聞一面のトップに、自転車の歩道走行に関する一つの記事が掲載された。他紙にはまったく取り上げられていないから、こんなものでも、スクープというものかも知れない。その要旨を下記にご紹介したいと思う。


  自転車道、造り方を指南 事故減狙い警察庁・国交交通省

 警察庁と国土交通省は自転車の通行ゾーンの整備指針を共同でまとめる方針を固めた。従来の自動車・歩行者中心の道路行政を見直し、車線を削ったり歩道を区分したりして、自転車の通行空間を確保し、事故を減らそうという新たな試みだ。道路の形状ごとに類型化した通行ゾーンの設置方法を都道府県に示し、自転車のための空間拡充を進める。

 自転車は道路交通法上、車道通行が原則で、歩道は例外的に「通行可」指定がある場所しか走れない。にもかかわらず、自動車と分離された通行空間が十分に確保されていないことから、歩道走行が事実上黙認されている自転車と歩行者の事故は、95〜05年で4.6倍に増加し、自転車がからむ事故全体も1.3倍に増えた。

 警察庁は3月、歩道を走る自転車に対する取り締まりを強化するよう全国の警察本部に通達。今国会には、車道通行の原則を維持しつつ、自転車が歩道を走れる要件を約30年ぶりによりきめ細かく定める道交法の改正案を提出し、ソフト面から自転車と歩行者・自動車の分離を進めている。

 指針は、自転車の道路上での位置づけをハード面からも明確化するのが狙い。車線が多い道路では、車線を削って車道左端に自転車レーンを設ける▽幅員が広い歩道は、自転車通行ゾーンを工作物やカラー舗装で区分するなどで、具体的な内容は専門家らの意見を聞きながら詰める。

 都道府県は指針をもとに、緊急性や必要性の高い路線から順次、自転車通行ゾーンの整備を進める。予算措置が必要なうえ、限られた道路空間のなかで再編が難しいケースも予想されるが、警察庁などは長期的展望に立って整備を求めていく。

 国交省は今年度、道路のハード面を定めた政令「道路構造令」での自転車の位置づけについて、検討作業に着手。あわせて各自治体や警察と連携した自転車道・レーン整備推進の組織づくりに乗り出す。

 同省によると、道路総延長に占める自転車道の割合は0.6%。環境保護対策などから国を挙げた利用促進に取り組む先進地のオランダ(8.6%)、ドイツ(4.7%)などと比べて小さい。



  

  これを読んでオッチャンは思った。警察を含め官僚とは何とまあ、建前と現実の乖離に無頓着な人間の集団なのか。ホントの話、つくづく感嘆するなぁ。愛知の田舎町豊田から起業されたトヨタが、世界一の生産量を目前としている自動車王国日本!! いや、自動車会社王国ニッポン!! そんな日本に立派な「道路交通法」がある。しかし、こんな意味のない法律を何故作ったのだろう。まるで抜け穴だらけ。意味のない、無駄な仕事をするのが官僚というものなのかな?

  自転車が車道を走らないことを分かっていながら、歩道を走ってはいけないと法で定める。車の洪水の中、危険いっぱいの車道を走れないことを知りつつ、明文化する。法律で決めてはみたものの、誰も守らないから事実上黙認する。いや、そうせざるを得ないのである。道路交通法も何もない。誰が好き好んで、いつ撥ねられるか分からない、おっかない車道なんか走るものか。

  似たような事例がある。オッチャンの娘が孫を連れて駅まできた。迎えに来てくれと言う。しかし、タクシーで来いと断った。オッチャンの車にはチャイルドシートが無いからだ。タクシーはお客なら無くても乗せてくれる。警察に確認すると、タクシーでもチャイルドシート無しでは違法だという。危険度は自家用車もタクシーも同様だから、正しい回答だと思う。だが、事実上タクシーの違反は黙認だ。タクシーなら法を犯しても良いということか。

  確かに同じ歩道を人が歩き、自転車が走るには危険がある。人は前からくる自転車に気を配り、後ろからは急速で抜かれたり、ベルではそこのけ、そこのけと驚かされたり散々な目に遭う。マナーの悪いのもいる。携帯電話を掛けながら、あるいはメールを見ながら走っている若い女性が多い。子どもたちはふざけながら、右に左に走り回る。年寄りは完全な弱者だ。怖くて仕方ないのもうなづける。

 ここで一つ大きな関心事は、小中学校で交通安全指導などを行う警察官は、生徒に対して「自転車の乗り方について」どう話しているかである。法令に違反してもいいから、安全な歩道を走れと言っているのだろうか。まさか、そんなことはあるまい。とすると、車道を走れと言っているのだろうか。それも無い話だなあ。そうなると、どうしたらよいのかなあ?オッチャンには、交通法規と実際の行動との矛盾点を、生徒にはとても話せないのだが..。



右二つの画像はクリックで拡大します
大型車が走る狭い道路 歩行者に不便な狭い歩道
この赤いポールは自転車入るな ? こんな車道を走れと言うのかな  これでは歩くのも怖いよ

           

 悪質自転車、一発レッド 都内、一斉取り締まり

 警視庁は5月10日から、都内全域で自転車に限定した初の一斉取り締まりに乗り出したそうだ。悪質なケースでは即、「赤切符」を切るという。自転車の対歩行者事故が増加傾向にあるとしても、何かおかしい。

 自転車の関連する事故を調べると、下記のような例もある。 

 ちょうど1年前の昨年5月10日夜には、三鷹市の歩道がない路側帯で、帰宅途中の会社員が歩行中の女性をはねて死亡させる事故が起きた。今年に入ってからも対歩行者の事故は3月末現在、昨年同期より34件多い226件発生。4月には東村山市で、歩道を自転車で通行中の男性が傘を差しながら自転車に乗っていた高校生に接触されて転倒し、車にはねられ死亡した。高校生は重過失傷害の現行犯で逮捕されている。 

 一斉取り締まりは都内の駅周辺や商店街など96カ所で実施。警視庁では「自動車と違い保険制度が整っていないだけに、死亡や重傷事故を起こせば取り返しの付かない事態になる」と訴えている。

  御堂筋、70歳 人に優しい道へ

  戦前から大阪の中心部を南北に貫き、発展を支え続けたメーンストリート、御堂筋が5月11日で完成から70周年を迎えたそうだ。完成から半世紀以上が経過し、約800本の美しいイチョウ並木を生かしたまちづくりや街路灯を明るくしたり、自転車道と歩道を分けたりする試みが始まっており、車のための道路から、人にも優しい道路に進化しようとしている。これが≪新たなスタート≫として取り上げられている。 

 道路を管理する国土交通省大阪国道事務所は昨年秋、一部の側道を自転車専用レーンとする実験を実施した。御堂筋沿いの歩道を走る自転車が増え、歩行者から「安心して歩けない」との声があがったためだ。
 こんなものがニュースになるあたりに、いかに自転車専用道路がないか証明されている、ということか。

  当地・鎌ケ谷市でも、自転車の通るスペースが考えられていないような車道、違法駐車車両などによって走りにくい道路ばかりだ。車道に自転車専用通路を設けたり、人と自転車の通行区分を設けた歩道はない。これから新たに広い道路を設けていく場合や、都市計画の進んだ街を除けば警察庁や国土交通省のもくろみは、長期的にもかなりの困難を伴う。まずは、お手並み拝見といくとするか。

 自転車の取り締まりで「赤切符」を切るよりは、直ぐには変わり得ない既成の道路や歩道と如何に共存するか。そちらを最優先して対応するしかないのでは....。小中高の各学校での自転車の乗り方の指導徹底や、車の免許更新時にビデオを見せ、交通法規の本を渡すだけのおざなりの教育だけでは、自転車に乗る方々の意識は変わらない。

 構想だおれに終わらぬためには、これからの創意と工夫にかかるだろう。


                   この標識 自転車に関連づけると いくつ 分かるかな ?



 当市の道路と歩道

 まず、一般道路に自転車道を設けるスペースはない。最近作られたほんの一部の道路に、自転車道を設けられる可能性がある。しかし道路の両側に自転車道を設けるには、道路が狭すぎる。一方通行にせねば、本来の「自転車は左側通行」とはならないから、あまり大きな意味はない。自転車に対する標識はどうなのだろうか。道路上にも、道路際にも殆ど見受けられない。要するに自転車による通行者に対しては、注意の呼びかけは何もないのである。これでは、自転車利用者に対する交通ルールの徹底は到底無理と言うものだろう。

 超真面目な人がいたとする。この人がヘタに法規に従い車道を通ろうものなら、あの世へ一直線となるのは目に見えている。何しろ歩道を歩いていても、そばを走り抜けるトラックに接触しそうになる。危険いっぱいだ。危険を感じつつ、やっと歩道を走れるところも多い。年寄りは、自転車では歩道も走れない。人に優しくない道路や歩道ばかりだ。こんな有様ではエリート官僚の構想はとても実現できそうにない。遠い、遠い夢に終わる。

 カラー塗装された道路や白線を引かれた道路もあるが、これも自転車には無縁である。歩道に色を塗った自転車通行帯もない。歩行者は塗装部分によって若干保護されるが、自転車利用者は益々狭くなった道で、身の危険度を増やすのみで心もとないこと、このうえもない。これが当市の道路の現状と言えるだろう。

 ひらたく言えば、
自転車利用者は、歩行者に注意しながら歩道を走るのが最も安全な道ということになる。現実の道路事情に即応していない道交法違反は、やむを得ないことになる。(C.W)

 




鎌ケ谷市で唯一の自転車が走れる歩道 = ただし一方通行ではなく、どちらを走るべきかも分からない



幅員6メートルはありそうだが、自転車は走ってはいけない この近くの人しか利用できない散歩道 ?