2011年度 デジタル1眼レフカメラ講座(全6回)開催


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2012年1月19日(木)デジタル一眼レフカメラ講座(5回目)の内容

 5回目の講座では、ストロボと絞り・シャッタースピードの関係を学んだ。

 講師より、今日の講座でストロボと絞りの関係を体験するために、室内の蛍光灯を消した状態でのカメラのシャッタースピードと絞りの値を、自分のカメラで確認するように言われた。次にストロボ発光が出来る状態に切り替えてその時の絞りとシャタースピードの値がどのように変わるかの確認を求められた。

須賀講師よりストロボの使い方を学ぶ ガイドナンバーの意味を知る 5回目講座の模様

 講師の説明では、暗い室内で撮影するためのカメラの絞りとシャッタースピードは、AUTOモードやPモードでは自動的に設定されるが、ストロボを発光できる状態でのカメラの絞りとシャッタースピードはストロボが発光した場合に適したように絞りとシャッタースピードも自動調整される。

 シャッターの開き具合も、全開の場合とスリット状の場合がある。スリット状の露光では、絞りを全開にしてシャッタースピードを1/250にした場合と、絞りは全開でシャッタースピードを1/2000にした場合ではフラッシュが使えない事がある。

 フラッシュの発光時間は非常に短いので、絞り全開でシャッターが動作する限界(フラッシュが使える状態)を体験してもらう。この状態をシンクロ同調速度と言って、カメラの説明書などではX=1/200 等と記載されている。

 フラッシュを使用する目的は、屋外で撮影をするときに、明るい場所では人物など撮影時に(太陽光の強い光で)影が強く出ることがあり、それをフラッシュを発光させることによって、その影を弱めたり、消したりする効果がある。
 明るいところでフラッシュを使用する場合は、デーライトシンクロといわれる。この効果は@補助光の効果 A影を消す効果 B?

 良く新聞社のカメラマンが屋外で撮影時でもフラッシュライトを使用するのは、紙面の人物写真などに強く影が出ることを防ぐために、フラッシュを使う意味がある。

 カメラはシャッタースピード1/200以上で、ストロボを上げる(ストロボ発光できる状態)と、自動的にシャッター速度を変える様になっている。

 ISO100=GN17の意味は:
 距離×絞り=GN(ガイドナンバー)の意味で、例えば @5m×F4=20(GN)であれば、絞りF4でストロボが届く最大距離は5mと言う事となる。 A1m×F20=20(GN) 同じGN値でも絞りF20が違えば、ストロボの光が届く距離も変わってくることを意味する。

 そこで、自分のカメラで最大ストロボの光がどこまで届くか試してみて欲しいと指示をされた。
その事例として、GN=17の場合 17÷F2.8=6m ストロボの光が届く距離は6mという事となる。

 次にISO感度について説明があった。
普段、カメラの標準設定ではISO感度は100に設定している。しかし撮影環境によってはISO感度を100→400に上げて使用する事も出来る。カメラによってISO3200〜6200程度まで選択できる機種もある。更に細かい露出調整については、先に学んだ露出補正機能を併用すれば良い。

 ここで、デジカメとフィルムの感度表示について、デジカメのISO100と写真フィルムのASA100は同じ感度を表すのかとの質問に対して、講師より基本的には同じ感度を意味すると説明があった。写真フィルムのASA表示は現在既にISO表示に変わっていると説明された。フイルムのパトローネの表面に印刷されている黒と銀色の格子模様はDXコードと呼ばれ、カメラにこのパトローネを挿入するとカメラがパトローネのDXコードを読み取りISO感度がいくつのフィルムか自動的に判別している。これだけデジタルカメラが普及してもフイルムは警察の証拠写真や、病院のレントゲン撮影用(最近はデジタル撮影され利用するケースも増えた)にも使われている。
(参照:フィルムの基礎知識)

 ISO感度に関連して、人物撮影時の肌の色を自然に写すにはISO100〜200程度が中間色(グラデーション)が良く再現され、階調表現力が豊かになる。ISO感度を200以上にして行くと写真の写りが硬くなる。

 ISO300程度で撮影する場合は、夜景の撮影に利用できるがコントラストが強くなり、また画像のザラザラ感が出てくる。

 ストロボスイッチを入れるとカメラのホワイトバランスが自動的に変更され、光源の種類が変わったときの様に撮影画像の色合いが変わってくる。

 ISO感度を上げる事によって、シャッタースピードが上がり、カメラの手ぶれ防止効果もある。

 赤目の減少策について、カメラには赤目防止モードが付いているので、次のフラッシュモード(@オート A赤目防止 Bスロー)を自分のカメラで選択できることを確認して欲しい。

 フラッシュ発光の方法も@フラッシュの評価測光をするために、本番用の強いフラッシュを発光させる前に、弱く短いフラッシュ発光を本番用前に発光させる場合と赤目防止の為に本番用の強いフラッシュ発光の前に弱く小さく短い発光を3回ほど続けて発光させ、人の瞳孔を閉じさせる目的でフラッシュを発光させる場合がある。

 赤目防止には、カメラのレンズとストロボの位置を離すと赤目現象は起き難い。レンズとストロボが近いと赤目現象が起きる。

 ストロボを使った人物撮影の際、撮影した写真を見ると人物はストロボ発光の効果で明るいが、背景が暗くなっている場合がある。この場合の明るさを画面全般に反映させる場合には、シャッタースピードを1/8程度にして露光時間を長くして、人物、背景共に明るい状態で撮影する事も出来る。
また、状況によってはシャッタースピードを1/60と少し早くしてスローシンクロで撮影すると背景部分にまで明るく撮影する事が出来る。各自自分のカメラでスローシンクロ設定の仕方を学び、受講者交互に人物撮影をしてそのスローシンクロの効果を確かめた。

暗い室内でフラッシュ撮影 フラッシュを使っても背景が暗い スローシンクロの説明
今度は背景も明るいスローシンクロ スローシンクロの効果を実感 後幕撮影に使ったゴルフボール



《講師の補足説明内容》
A フラッシュとシャッター速度の話し
 1 被写体が暗い場合、撮影モードの設定によりカメラはスローシャッターになるかフラッシュを発光させます。フラッシュを発光させ無い場合のシャッター速度、フラッシュのスイッチを入れた場合のシャッター速度を比較しました。その場合スローシャッターのまま発光するのか、シャッター速度がある程度上がって発光するのかを確認しました。

 2 今度は被写体を明るくして高速シャッター状態にしました。そしてフラッシュを強制発光にしてスイッチを入れると逆にシャッター速度が下がってしまう事を確認しました。

 なぜ高速シャッターがフラッシュのスイッチを入れると1/1000秒や1/500秒のシャッター速度が1/200秒以下に下がってしまったのか。ここで説明書を開いてみました。Nikon D-5000を例にとると「フラッシュ同調シャッタースピード」の項に「X=1/200秒以下のシャッタースピードに同調」と記されていました。「シャッター形式」には「電子制御上下走行式フォーカルプレーンシャッター」とあります。このカメラの場合シャッターは上下走行式でシンクロ同調速度は1/200秒以下になります。

 ここでフォーカルプレーンシャッターの場合シャッター速度全てが同じ全開でない事を話しました。
 フォーカルプレーンシャッターのシャッター幕には先幕と後幕があり、先幕先に降りて露光を始め後幕で遮光する、構造です。この時シンクロ同調速度が1/200秒以下である事からこのカメラではシャッター速度が1/200秒までは先幕が完全に下りきった状態でフラッシュが発光し、設定時間経過後に後幕が下りて露光が終了する事を意味しています。それでは1/200秒以上のシャッター速度ではどうなるかというと、幕速は一定なので、先幕が下りきらない内に後幕が下り始め2つの幕でスリットを作り、その隙間を狭めたり広げたりして露光する事で露光時間を短くし高速シャッターを得ています。シャッター幕がスリット状になって移動してるところにフラッシュを発光させても、発光時間の短い(数百〜数千、数万分の一秒)フラッシュでは撮像素子全面にフラッシュ光が届かずスリットによりフラッシュ光のケラレが生じてしまいます。(ここでは高速シャッターでも同調する外付けフラッシュの話は省いて内蔵フラッシュで話を進めています)

 これでフラッシュを使う際、シンクロ同調速度以下のシャッター速度で撮影しなければいけないのが解ったと思います。そのために1の実験で暗い場合にフラッシュ光のスイッチを入れた場合シャッター速度は変化する事が無く、2の実験で明るい場合にはフラッシュ光のスイッチを入れるとシャッター速度がシンクロ同調速度以下に下がってしまう事を確認しました。また手ブレ防止のため1でもスローシャッターから中速に変化をしたカメラもありました。

 シンクロ同調速度に関してはフォーカルプレーンシャッターの場合のみでデジタル一眼やコンデジのようにレンズシャッター機ではフラッシュは全速同調しますのでこの限りではありません。

 B ガイドナンバーの話し
 ガイドナンバーはフラッシュの持つ発光能力(光の強さ)を表します。ここでも説明書を見ると(Nikon D-5000の場合)「ガイドナンバー約17(マニュアルフル発光時18)(ISO200.m、20℃)とありました。
ガイドナンバー(ISO)=絞り値×距離m と言う式があります。
 ここでISO感度200(D5000の場合ISO感度は200〜3200なのでISO200を例にとる)の場合ガイドナンバーは17ですのでレンズ絞りがF5.6でオート撮影を行う場合、17(ISO200)=F5.6×距離と言う計算式から距離は3mと出ました。この3mはオート撮影では絞り値F5.6を使用すると3mまでは調光範囲で露光不足無く撮影できる、と言う意味になります。皆さんお持ちのズームレンズはF3.5〜F5.6が多かったのでF5.6を例に挙げました。このことから内蔵フラッシュを使う際に被写体距離が3m以内だったら無難に使用できるよ、もっと離れていてフラッシュ光を使う際にはISO感度を上げて撮影するのが手だね、と言う話をしました。
ただし、ISO感度を上げると画質にも(コントラストやノイズ)にも影響がある事を付け加えました。

 C フラッシュの発光モード
 通常のオート発光の他に強制発光、発光禁止、スローシンクロ、赤目防止シンクロなどのモードがありました。
このなかでスローシンクロは、被写体が暗い(当然背景も暗い)場合にスローシャッターになります。通常フラッシュを焚いた場合シャッター速度は上がりフラッシュ光により被写体は適正露出が得られます。が、シャッター速度が上がる事で背景は暗くなってしまいます。そこで被写体も明るく(フラッシュ光)、そして背景も明るく(スローシャッター)の組み合わせで使うと被写体も背景も明るく撮影できバランスがとれます。
この時はスローシャッターなのでぶれないように三脚が必要になります。

赤目防止は
 赤目現象とは暗くなると人の眼は瞳孔が開いてしまいます。開いた瞳孔からフラッシュ光が入り込み、中の網膜に反射して血管の色が赤く瞳孔から見え写ってしまうのが赤目現象です。これを防ぐにはフラッシュをレンズから離す、もしくは人の瞳孔を小さく閉じさせればよいのです。カメラの赤目防止はポップアップして発光位置を高くしている他に撮影前に被写体に光を当てて瞳孔を閉じさせています。
 瞳孔を閉じさせるため露光前に軽くフラッシュを数回発光させ、その後適正量発光して露光する、もうひとつはAF補助光を照射する事で瞳孔を閉じさせてからフラッシュ発光で露光するなどがあります。(D5000は後者です)

D フラッシュの発光タイミング(先幕シンクロと後幕シンクロ)
 フラッシュ光の発光時間はシャッター速度(フラッシュ同調速度)に比べかなり速いのでシャッター幕が開いている間中の事象を全て写している訳ではない。
「先幕シンクロ」はシャッター先幕が開いた直後にフラッシュを発光させるタイミングで、「後幕シンクロ」は後幕が閉じ始める直前にフラッシュ発光のタイミングをとる。シャッター速度が遅くなる程2つのタイミングの差は大きくなるの
で先幕シンクロと後幕シンクロでは違った絵が撮影できるはず
 スローシンクロは通常先幕シンクロが使われているがあえて後幕シンクロに変更してみよう。
 手軽な実験として転がるゴルフボールをスローシンクロ、後幕シンクロで撮影した。回りをスローシャッターになる明るさに調節し後幕シンクロでフラッシュを発光。するとボールの後に尾を引いたように残像が記録され、だたフラッシュ光を使うよりも動きを表現する写真が撮れた。ゴルフボールのように前後進行方向の区別がない被写体では先幕シンクロでも向きが違うだけの同じような写真が撮れるだろうが自動車のように前後のハッキリした被写体では効果も期待できよう。




 本日の講座の最後は、フラッシュを使った@先幕 A後幕 の機能説明とその撮影結果についてである。
@先幕はシャッターが先に開いて、次に短くフラッシュが発光する 通常のフラッシュ効果による被写体を明るくする効果がある。 A後幕はシャッターが開いて閉じる少し手前でフラッシュを発光させるもので、人物などを撮影した場合には、人物が流れる様に写す効果がある。スピード感を表現する事が出来る。

Aの後幕を体験するため、講師が持参されたゴルフボールを被写体にしてボールの転がりを後幕で撮影する体験を行った。自分のカメラに後幕設定をするのも取説と首っ引きで何とか設定を済ませ撮影するが、なかなか思ったような後幕効果が撮影できない。そこでシャッタースピード1/4 絞り5.6程度に再調整してやっと何とか後幕効果が出た写真撮影が出来た。

ころがるボールの後に白い影を引く スピード感のある後幕効果写真 受講者の取った写真をスライドで見る

 今回の講座では、主に座学に近い講座であったが、講師の説明に対するカメラ設定で各自手間取り、なかなか具体的な撮影までに至らなかったケースもあった。基本的には受講者が本日教わったカメラの各機能をしっかりと説明書を読んで、すばやく設定ができる様に何度も練習することであろう。カメラの基本設定の方法が出来なければ、講師の説明についていけないし、折角の講座で教わった事が無駄になってしまう。
 今回参加された方や、本日欠席された方もこのデジタルカメラ講座のホームページをご覧になって、各自自宅で自習・復習に活用していただければ幸いである。