介護と支援 地域福祉の現場から


 第二回市民公開講座「介護と支援 地域福祉の現場から」を平成17年2月26日(土)午後1時より3時まで、中央公民館3階 研修室3において開催した。
 今回の講座も、鎌ケ谷市の後援を受けて、市の公民館へのポスター掲示や市広報かまがやに掲載、また「街づくりかまがや」紙の協力を得て同紙への掲載も行っていただいた。
 当日は、一般参加者や会員などの紹介によって参加された方々を含め20余名の参加があった。

今回の講座は3部制で行い、第1部は鎌ケ谷市社会福祉協議会事務局長の今村隆一氏による「鎌ケ谷市社会福祉協議会の活動紹介と介護体験を通じて感じた課題」の話がなされ、また第2部はヘルパーの仕事をされている田辺裕子さんから「新人ヘルパーが見た介護の現場」と題して介護の体験談を話していただいた。第3部はセミナー終了後に講師の方を囲んだ懇談会を催した。

今村講師 田辺講師

講座の内容としては:
第一部:「鎌ケ谷市社会福祉協議会の活動紹介と介護体験を通じて感じた課題」
 ・親の介護と専門スタッフ
 ・社会福祉協議会とふれあいサービスについて
 ・これからの地域福祉を考える

介護体験を話される講師 福祉活動の話をする講師 熱心に説明を聞く参加者

お話の要旨:
 今村さんは、ご病気で自力歩行が不自由になられた親御さんの介護(現在80歳)体験を通じて、その当時まだ法整備(介護保険法など)の遅れや介護施設利用の問題にも直面しながら、在宅介護に伴なうケースワーカーやホームヘルパーの方々、また現在は特別養護老人ホームのお世話になって、何とか親の介護について対処してきたと体験談を話されました。
 実際に介護施設などの利用については、福祉サービス提供者の公平な評価を得た情報が少なく、介護を必要とする家族にとっては「よい介護を施設を見つけること」が大きな問題であると話されました。ご自身の介護施設利用体験から、東京都で現在奨励している「福祉サービス第三者評価」について説明がありましたが、施設の方と話をする中で大事なことは評価をするのは人であり、何よりもその施設の入居者及びその利用者が満足していることが大切であると話がありました。

 また、ご自身が勤務されている鎌ケ谷市の社会福祉協議会の活動について話されましたが、参加された市民の方々に意外と知られていない所が多く、地元社会福祉協議会の「ふれあいサービス」制度や他市と比べても先駆的な活動している地区社協の活動状況及び高齢化社会の到来によって、地元が直面しなければならない地域福祉の課題など参加者の方が理解を深めるのに役立ったものと思われます。

 最後に、地方・地域の問題は地域で解決をすると言う地域自治制度(地域自治法)の改正に伴ない、指定管理者制度の導入によって「公の施設」の管理代行を「法人その他の団体」に行わせようとするものであり、また地域協議会(地域自治組織)制度については、地域における住民サービスを行うのは行政のみでないとした地域(自治組織)における自己決定と自己責任の実現(地域で出来る事は地域でやってもらう)を図るという説明がありました。

第二部:「新人ヘルパーが見た介護の現場」
 ・自己紹介とヘルパーを目指した動機
 ・ヘルパーとして介護の現場で感じたこと
 ・自分で考えるヘルパーとは?

自己紹介をする田辺講師 ヘルパー現場体験を語る 田辺さんのお話に感動!

お話の要旨:
 ホームヘルパー2級を取得後1年半経過した新人ヘルパーです。 市外で在宅介護支援センターに登録して、在宅介護の仕事をしています。数年前から、街中でデイサービスの車を多く見かけます。市内・市外でも老人介護の施設も増えてきましたし、ホームヘルパーの取得者が増えてきています。

 わたくしがホームヘルパーになるきっかけは、これからニーズが高い仕事、やりがいのある仕事、長いことやっていける仕事と思ったからであり、同居していた祖母が寝たきりになった、子どもの頃の経験が影響をしていると思います。
 小学生の頃、急に祖母が関節リュウマチ炎を患って、身体の節々のひじ、ひざが曲がってイタイイタイといっていた。当時は和式で、バリアフリーではなく、祖母は出来る事は起き上がって、自宅で動いていたが見る見る身体が動かなくなってきた。中学生の頃、祖母が寝たきり老人となった。家庭で一人寝たきり老人を抱えると、家庭の雰囲気や生活が変わります。

 家族にとっても負担が重く、祖母の看護は母だけではどうしようもなく、中学生の時に兄弟で食事・排泄の世話をしました。1〜2年間家庭での介護に疲れて介護施設に入院させましたが、その当時、病院も寝たきり老人を受け入れるところが少なく1年ぐらいで、病院のたらいまわしとなって、私が21歳の時に祖母は86歳で他界しました。

 当時は介護保険も無く、バリアフリーも無く、レンタルベットの普及もしていない時期で、介護用品はその当時なかった。家族が悩む、重荷を抱える状態でした。当時はデイサービスも無く、寝たきりの人を抱えることを家族で隠す暗いイメージ、暗い介護と思った。
 いまどきの介護は寝たきりにさせないための介護、自立の手伝いを出来るようなオープンな明るい感じの介護と思う。今のような社会であれば、祖母も長生きできたかも。

 私の仕事は在宅介護、生活支援が主、病院で寝たきりにならないために、自分の家で自分らしく自立した生活が出来るためのお手伝いをしていると思っている。
 自立とは、自分の持っている力をどれだけ引き出してあげるか、自立のお手伝い。病院のヘルパーさんは、寝たきりの方のおむつ交換や食事の補助など、生活支援のヘルパーとは少し違うと思う。

 在宅介護とは、どんなことをするのか。
ヘルパーステーションでは自分の担当する利用者の状態を聞く(看護師さんの申し送りのようなもの)、利用者の方の家族構成、生活の状態、その方が要介護者かどうかなど介護度を聞く。そして訪問曜日、時間が決まる。1回目、同行訪問し家族に挨拶、利用者との初めての面談、挨拶、仕事の流れを教わる。自分でも(介護のやり方を)考える。決まった時間に家庭に入り、利用者さんが普通に生活する上で自分で出来ないところをフォローする。
 身体の介護例に関する以外はヘルパーをしていて思ったことで、家政婦さんとかお手伝いさんと似ているところもある。たまに近所の人からお手伝いさんと呼ばれることもあり、お手伝いさんと錯覚することもある。
 仕事の種類も派遣先でバラエティに富む、なんだか何でも屋さんみたいなところもある。買い物、掃除、ゴミ捨て、料理、洗濯、ふとん干し、通院介助、歩行介助、排泄介助、入浴見守り、清拭(頭や顔を拭く)、足浴、デイサービスの見送りなど。また季節に応じて、(お宅の)衣装の衣替え、一緒に歌を歌ったり、頼まれれば排水溝のムカデ退治や流し台の下のゴキブリ退治など手伝ったりすることもある。
 利用者さんと楽しかったり、うれしかったりすると一緒に笑ったりしている。

 一歩利用者さんのお宅に入ると、その家の色になんとなく染まるように同じ時間を共有することで、利用者さんとコミュニケーションが出来て楽しい時間を過ごすことが出来る。不思議と毎回訪問曜日、時間が決まって何ヶ月も続けていると、自分の家ではないがどこに何があるか
がだんだん分かってきて、自分の家に近いような馴染みの気持ちが出てくる自分に不思議な気もする。

 利用者さんもいろいろ、89歳から91歳の高齢者の方も、一人で(暮らして)も自分の家が良く、動けるうちは自分の家で自分らしく過ごしたいと(希望される)場合は、一人で心もとないでしょうが、頑張って暮らしている方もいる。そのようなお家では出来る範囲でお手伝いをしたりする。あとよく多いのは、息子さんと二人暮しで息子さんが普段仕事で夜帰りが遅く、お母さんの世話が出来なくて、(その上)お母さんも脊髄を悪くして歩行が困難だったり、少し痴ほうが入ったりしていて一人で心配な場合に、お家に日中伺ってお世話したりしている。

 ヘルパーさんが他人の家に入っていくことに抵抗がある人もきっとおられると思います。ちらかっているが見られるのがいやだとか、家の中の状況を見られるのがいやだとか、ヘルパーはどういうことをしてくれるのかとか、どこまでしてくれるのかとか思って、頼みづらかったりする方もおられますが、何でも相談していただければと思う。

 これからの介護に望むもの。
私も新人なので、壁が無く身近でそこに直ぐあるお手伝いの手、だれでもいつでも届く手でありたい。
自分も未熟者なので、利用者さんと共にこれからも成長して行きたいと思います。

 私事ですが、今自分の母と父が一度に入院してしまっている。
母親の世話をしていて不思議に思うのですが、介護としてやると仕事なのでああしてやろうとかこうしてあげようとか頭が廻るのです。しかし自分の親になると喧嘩をしてしまうことがあります。あれをやってよ言われるといやだと平気で言ってしまう。そういうのが私に有るのかなと思うのと、だから家の人では喧嘩になるところが、全くの他人の手伝う手が入れば助かる部分、和らげる部分があるのかなと最近は感じています。

第三部:懇談会

講師を囲んで懇談 活発な意見が続出 講師への質問も多く

 今回のセミナーでは今村講師、田辺講師のお話しの後、講師を囲んで懇談会を実施しました。
最初に話をされた今村講師も時間が少し足りなくて、懇談会の場で「ふれあいサービス」など補足説明が行われました。また、ヘルパーをされている田辺講師の現場体験談については、日頃余りこのような話を聞く機会が少ない参加者の皆さんも、ヘルパーさんと利用者の方のかかわり方について多くの知らない事がわかって、介護の実態について理解を深められました。
 残念ながら、田辺さんはご両親の看護のため、懇談会には出席できませんでしたが、参加者の皆さんは田辺さんの真摯なヘルパーの仕事にかける情熱を感じ、退席される田辺さんに感謝と励ましの気持ちを込めて大きな拍手が送られました。
 参加者の方から、懇談会の場で多くの質問(介護サービス、ふれあいサービス、特別老人ホーム、社協活動など)や、意見が出されました。参加者の方で福祉介護ボランティアをしたくて、市の講習など受講されましたが、なかなか実際にボランティア活動が割り当てられないと言う不満も伝えられ、介護利用者の希望とボランティア希望者との受け入れ仲介をする、ボランティア受け皿つくりの課題が提起されました。

 講座終了後のアンケート結果においても、このような講座・セミナーをNPO法人が公平な立場で開催する事については賛成が多く、もっと頻繁に開催して欲しいと言う意見がありました。
 これからも、当NPO法人と致しましては市民の皆さんの関心が高いテーマについて、希望を募り開催を企画して参りたいと存じます。