上海紀行
Part 14

ライター:千遥

蘇州に到着する   

 蘇州駅には10時過ぎに到着した。駅前が広い。広場の、そのずっと先には、ずらっと数10本の中国国旗の赤旗が掲げられ夜風に翻っている。蘇州は観光地のためか、さすがにこの時刻では人影もまばらだ。タクシーに乗る人位しか見受けられない。タクシーはたくさん客待ちしている。

 その乗り場まで行くのにちょっと時間がかかってしまった。日本人と見た客引きが次々と寄ってくる。オジサンやオバチャンが多い。「どこに泊まるのか? 案内するよ」とか「明日、蘇州一天旅遊はタクシーがいいよ」などと言っているようだった。すべては聞き取れないが、まあそんなところである。

   真紅の中国国旗が目立つ

 とにかく今日は遅い。蘇州の地図だけを10元で買い、タクシーで目的の園外楼飯店(Grand Hotel)に向かう。三ツ星とランクされているが、なかか立派なホテルだ。
 シングル・朝食つき現地通貨で一泊318元(5000円程度)。日本からFAXで予約してあるからチェックインも特に問題はない。パスポートを見ながら、服務員がチェックインのシートに書き込んでくれる。当方は何もしなくてよい。

 英語は問題なく楽に通じるが、日本語はまるで通じない。クレジットカード(信用カード=シンヨンカー)で支払う旨を伝えると、とりあえず先方は控えをとる。
 カウンターの女性は応対がとても丁寧である。英語が話せて一流ホテルに勤務できるのは、かなりよい職場といって間違いない。ホテルに限らず受け答えが丁寧かつ親切なのは、そのようにしないと即座に解雇されてしまうから、と上海の王小姐は言っていた。
 クレジットによる支払いは、チェックアウトの時に正式にサインして精算が終わる仕組みだ。

園外楼ホテルの食堂

 室内には「賓客意見調査票」がおいてある。姓名、房号、入住日期、住所などを書き込み、食品衛生や食品質量(品質)、酒・コーヒー庁服務(サービス)、商場服務(Sales Department Service)、Nin対本飯店印象如何?満意(満足)・一般(普通)・不満意(不満足)などにチェックするよう気配りされている。
官製の冷たいイメージは全くない。

 日本のホテルと何ら変わるものではなかった。中国のホテルも完全に資本主義経済の世界に入っているとの印象を深くした。

 因みに英語で書かれたものは次のとおりであった。まさに、弱肉強食であり、サービスの悪いホテルは駆逐される。政治は共産主義、経済は資本主義に完全に分割されているといってよい。


同行した日本人朋友

Dear Guest:
Welcome to Suzhou, “Paradise on earth”for sightseeing.
Please give your comment and suggestions on the services and facilities of our hotel.
If there is anything we can do to make your stay more enjoyable, please let us know...... 」

 ベッドは二つあるから余裕のツィンルームである。風呂はシャワーだけだったので、その日は止めた。テレビをつけてみる。ニュースや中国の昔の活劇、視聴者も参加するバラエティ番組などいろいろな番組が放送されている。

 参加している一般民衆はみな楽しそうだ。コマーシャルもドンドン入るし、ちょっと見た目には日本の番組と変わらない。NHKの衛星放送の受信も可能である。政府に都合の悪いニュースは流さないといわれるが、これで思想統一が維持できるのだろか。


高級住宅街で抱き合う2人


 翌朝は早速1Fの食堂に行く。朝食はいずこも同じバーベキュー方式である。日本人らしき人は一人も見受けられない。見た目で選べるから我々にもこれが一番よい。
 最初は多くのメニューから少しずつとり、美味しそうなものは何回も食べた。この真冬なのにスイカなどもある。広い大陸の南方からでも持ち込んでくるのだろうか。

 レジの女性は真っ赤な制服を着ており、食堂の責任者であることが分る。 不法な来客に目を配っている。この女性は日本語をはなさなかったが、ウエイトレスの中に日本語を話す方が一人だけいた。「どうぞこちらへ」と案内されて吃驚した。「日本語上手ですね。どこで習ったの」と聞いたら独学で学習しているとのことだった。日本語をマスターして、よりよい職場への転属を目指すそうである。 
              (続く)

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