日本の秘湯 薬師温泉の湯巡り



 平成21年5月28日~29日の平日に、家族で温泉巡りのドライブに出かけた。今年の1月に入院したこともあり快気祝いも兼ねた温泉めぐりの旅となった。
 
 行程は鎌ヶ谷市内から東京外環自動車道(大泉)を経て関越自動車道で、長野県の小諸ICで降りた。正午を少し過ぎた時間であったがJR小諸駅近くの美味しいお蕎麦の店を探し市内を廻ってみたが、生憎く目指すお店は休日。小諸駅傍の懐古苑と園内のお蕎麦屋さんで昼食を摂る。その後、国道18号線で軽井沢まで戻り、初めて軽井沢銀座なる商店街を訪れた。まだシーズンに到来していなく、平日のため観光客も少なかったが結構、お洒落なお店も並んでいて楽しかった。特にお土産には地元特産の蜂蜜やジャムが人気だ。

軽井沢銀座の街中 静謐な白糸の滝 道路標識→右下「白糸の滝」方面

 群馬県の温泉地に向かう途中で、白糸の滝や北軽井沢の街道を走りぬける。群馬県の長野原方面に向かう道路はずっと下り坂が続いていて、途中でTVの動物番組でも人気のある「ポチタマ」でよく取材されている北軽井沢の動物病院前を通過した。こんなところにあったのかと感心しきり。その後長い下り坂を下りてJR長野原駅前を通過して、暫くすると国道406号線に向う。国道といっても標識が立っていなければ分からないほどの狭い道幅で、村の中をクネクネと曲がりながら登り道が続く。途中からようやく道路もアスファルト舗装された国道らしく上下2車線に広がった。
 薬師温泉に行くには海抜1473mの菅峰峠を越えて向う。急な登り坂に加えカーブが続きドライバーも大変だ。冬季にはこのあたりりは積雪がすごく事故を起しやすい道だそうで、途中に何ヶ所も凸凹上になっている箇所があった。この上を通過すると、まるでシーソーに乗っている様に上下して走りにくい。これはスピードの出しすぎを押さえるための道路管理者側の工夫なのだそうだが、こんな道路は初めての経験だった。峠を上りきって後は下る一方で、ようやく道路の脇に小さな薬師温泉入り口の看板を見つけて、国道から温泉方向に細い道を入る。程なくして薬師温泉入り口に到着。

旅籠の薬師長屋門 旅籠の本館入り口 本館前にて

かやぶきの郷 薬師温泉 旅籠: 〒377--0933 群馬県吾妻郡東吾妻町本宿3330-20
TEL:0279-69-2422(代) URL:http://www.yakushi-hatago.co.jp/

 確かに、秘湯である。周りにはほとんど人家らしきものはない。敷地が広く、この温泉地の中にかやぶきの古民家を移築し、その中に各種の展示物を集めて公開している。立ち寄り湯もあるので観光を兼ねて訪れる観光客も多いと聞く。我々は入り口(薬師長屋門)から、敷地内にある古民家の前を下って、ようやく薬師温泉「旅籠(はたご)」のフロントに到着。宿の外観はかやぶきの古民家を移築した建物であるが、中はすっかり改装されて近代化されている。受付を終えた宿泊客が部屋に案内されるまでの間、大きな炉辺の周りにあつらえられた椅子に座って、旅館から出されるウエルカムドリンクなる軽いお酒を味わった。宿のフロントがある階は5階で、客室にはエレベーターで下に降りる。我々が泊まった階は2階で、1階が大浴場や露天風呂、明朝の食事処となっている。

 宿の女性係員から、客室に案内された。室内は12畳ほどか、かなり広く感じられた。窓からは直ぐ下を流れる川が見え清涼感を感じる。この川では渓流釣りも行われるようだ。室内のたたみは琉球畳が引きつめられている。部屋で一服してから夕食までに早速お風呂に行った。内風呂では3槽の浴室があり、薬湯で自噴天然温泉かけ流し、温泉の泉温は少し高い(42.8℃)ナトリュム・カルシューム-塩化物・硫酸塩温泉で動脈硬化、やけど、神経痛、慢性夫人病にも利くと効能が書かれてある。この温泉は美人の湯としても有名だそうだ。露天風呂「滝見の湯」のほかに貸しきり風呂もある。

薬師温泉旅籠の温泉かけ流し薬湯

 宿のお風呂にも満足して、夕食は少し遅めに5階の離れとなっている炉辺焼き風の食事処で頂いた。新鮮な地元で採れた野菜や川魚など、囲炉裏で食材を焼きながら暖かいうちに食するという趣向である。
 食事を終えたら、少し時間をおいて寝る前にもうひと風呂と思っていたが、ドライブに疲れたのかTVを見ながらそのまま寝てしまった。
 
 翌朝は、少し朝から小雨が降っていたが1階の食事処で朝食を頂いた。トロロと麦飯は美味しく、また新鮮な地元で取った卵も、黄身がプリプリしていて卵かけご飯で頂くと2杯目もスット腹に収まる。

 いつもより遅めの10時に宿をチェックアウトして、この「かやぶきの郷」にある園内のかやぶき古民家施設に展示してある民芸品や昔の箪笥、昔の道具類、火縄銃、古伊万里焼の陶器の展示など興味が尽きない展示物が多くあった。

古民家に展示された端午の節句の武者人形
天井から吊り下げられた照明 端午の節句の人形飾り 収集された古い箪笥類
本館の向かい食事処 陶器の展示場 園内の古民家展示場

 この薬師温泉から帰路に着くのであるが、まだ充分時間があったので群馬県の秘湯をもう一つ訪ねる事とした。国道17号線の月夜野ICから来るのが一番近く便利なのであるが、昨日の国道406号線で大戸に向かい、そこから国道145号線で(吾妻町)を経由して中之条に向かい、更に今回も街中の細い道路を走って峠越えをして須川から湯谷温泉方面、そこで国道17号線で猿ヶ京温泉方面を経て、法師温泉(立ち寄り湯)に向った。

 秘湯の湯「法師温泉」には一度行ってみたかった。昔の事だがJR旅の広告でフルムーン割引のコマーシャル(高峰 峰子と上原 謙)を見られた方には、温泉場がひなびた木造の建物で、細長く8つに仕切られた浴場に二人の俳優さんがお湯に浸かっているあの場面を思い出される方も多いのではないだろうか。湯船の温度は余り熱くなく、長時間温泉に入っていてものぼせることはない。泉質は無色透明のカルシュウム、ナトリウム硫酸塩泉で胃炎、火傷、創傷、動脈硬化症等によく利くと効能が書かれてあった。湯船に浸かると足元には小石がひきつめられており、腰掛に丁度よいくらいの岩石も置かれている。湯船の底から自然に湧き出す温泉が時折り小さな泡をたて水面に上がってくるのを見ているだけでも心地よい。

法師温泉「長寿館」の建物 有名な法師之湯 浴場 レトロな温泉旅館のたたずまい

 法師温泉の立ち寄り湯を楽しでから、帰路に着く。国道17号線で月夜野ICから関越自動車道で、昨日来た逆の順路で帰路に着いた。この2日間の全行程は約600Km弱。旅行費用の殆どは国の経済対策である定額給付金を充当させてもらった。

(投稿:TOMY)